はんそく負け

仮面ライダー555のはんそく負けのレビュー・感想・評価

仮面ライダー555(2003年製作のドラマ)
3.3
再見。仮面ライダーになることは自身を偽ること。やっぱり555がたっくんじゃないといけないのは、巧には秘密があるからで、かつ、その秘密≒罪、さらには死の運命さえ背負えるから。ということを、4〜5話だけ登場する木場555を見て思う。木場さんはマジでライダー似合わないんだけど、それはあんまり嘘つける人じゃないからだよね。啓太郎や真理ちゃんが変身しない/できないのもそういう人柄だからな気がする。
一方草加は匿名性を帯びるために変身する。3本のベルト全部巻いたのはたぶん彼だけだよね?もちろん秘密も抱えてるんだけど、その秘密を守るために人を欺き、騙し、躊躇なくベルトを巻く。やっぱし苦手なキャラではあるが、今回魅力的な側面も見えてくる。
シナリオ的にも演出的にも長田さん退場以降の異常な密度が楽しい。逆に前半は人物同士がすれ違いすぎて世界が小さく見えすぎる。いや、東映特撮ってほとんどがミニマムなんだけど、この作品はちょっとノイズになるくらい世界が狭く見えてしまう。
ベストは17話。決意の巧は炎で引かれた一線を超えてオルフェノクを斬り捨てる。線の手前の安全圏で喜ぶ真理と啓太郎は、単に巧の復活を喜んでいるんだけど、その絵面はかなりグロテスク。でもその罪すら巧は背負う。演出は田村直己。ローテの中では一番技巧的な画面を撮っていたと思う。とはいえほぼ完璧な布陣による持ち回りだよなー。あと、アクションは毎回ピカイチです。