なかずかい

王様戦隊キングオージャーのなかずかいのレビュー・感想・評価

王様戦隊キングオージャー(2023年製作のドラマ)
3.1
LEDウォールという新技術を用いた3DCGによる背景で異世界の惑星チキューが舞台となった挑戦的な制作となった47作目のスーパー戦隊。独自の世界観で話が進み、5王国の5国王(途中で数が一つ増えるが)が同盟を結び、中盤で戦隊を結成するという、『キュウレンジャー』以上に縦軸要素がかなり強めのストーリーとなった。そして第3クールからは第2シーズンとなるというまさかの展開もあった。

前年の『ドンブラザーズ』がヒューマニズムの素晴らしさを突き詰めた作品だったので、世界観の説明に終始していた本作の序盤ではドンブラザーズのロスが激しく雑に視聴してしまったのだが。いやこれは私が悪い。でもゴローゲという声がクソデカい1国民のキャラクターを使って作劇を展開する作風は最後までマジで受け付けなかった。
段々面白くなっていくような気持ちもあったが、一惑星全体を舞台にしている割に移動手段への言及の不足や大陸を移動してもタイムロスなく敵が出てくるところとか、世界観重視の作品の割に作品内ルールに納得出来ないことも多くてあんまりノレなかった。背景アングルのバリエーションが少ないこともあって、未知の惑星を丸々舞台にしている割に世界が狭いような気持ちもあった。あと国民総登場!みたいなシーンが多かったけど、これで全部だったら1惑星の人口少なすぎんか?みたいな感覚もある。
それでもジェラミーの登場のイベントや劇場版のデボニカのキャラクターがつくづく良かったこともあり視聴を続けていくと、第1シーズンラストの、民と王合わせて25人でゴッドキングオージャーに搭乗するという、かなり激アツな展開となり、『キングオージャー』はどんどん面白くなった。
まさかの第3クールから3年が経過した第2シーズンが開始するという発表には驚いたが、第2シーズンも快調な滑り出しとキョウリュウジャーコラボで爆発的な盛り上がりがあった。しかしその後である。キョウリュウジャーの住まう地球からチキューに帰るとウラシマ効果により半年が経過していた展開だが、地球から呼ばれたコーカサス城はタイムロス無しでチキューから飛んできていたよな、とノイズが入ってくる。そしてそれから5王国奪還編が始まるのだが、この奪還編がね、ンコソパ奪還ならないままつまらないギャグばかり繰り出すヤンマというノイズが常に付き纏う。毎回敵も倒されたんだかないんだかみたいな展開続くし。まあカグラギの過去が分かるトウフ回は普通に良かったんだけど。

最終章もなんだかよく分からない展開が多く、ご都合主義的だなと感じてしまった。まんま『アベンジャーズエンドゲーム』の最終決戦の絵面を民間人まみれで再現するのは正直萎える。敵のダグデトも急に大量戦力投入してくるし。敵の数増やせるならちゃんと毎回出してやられキャラにしてやればよかったじゃん。
大体大集合した民のうちシュゴッダム民は5王国奪還編でクズっぷりを見せるだけ見せていた人達なのでこいつら来てもさあ。ゴローゲ使って無理やり作劇していた作品でやることでは決してない。非戦闘員沢山集めて生身で戦わせる展開もね、何人も死人が出てないとおかしいだろうと思わされるし。あの敵軍相手に一応生きていられそうなの、牢獄入ってた罪人達(稲田徹と仲間たち)くらいだろ。結局第1シーズンの、25人でゴッドキングオージャーに搭乗する展開の方がマジで丁度良かったよ。

でもハーカバーカから死人大召喚して先代国王が代わりに変身して宴会する時間を稼いでくれる絵面はここでしか見られないと思う。これは本当に良かった。後ろで非戦闘員の国民たちが敵前に姿を晒して戦ってさえいなければなあ。

ラストの超絶怒涛究極完全体キングオージャー?、も天元突破グレンラガンをやろうとしてることだけ見え見えでなんか萎えてしまった。
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