デパルマ

キリング・イヴ/Killing Eve シーズン1のデパルマのレビュー・感想・評価

4.5
最終シーズンに向けて再鑑賞。相変わらずバチクソ面白い。ジョディ・カマーのお顔とファッションと予測不能な言動ずっと見てられる。飽きない。さて、それじゃイヴとヴィラネルの関係に注目しますよ。豊富な肉体関係を持っていることが判明した上司キャロリンは好きでなくても愛せると言い、同僚ビルは実はクローゼットなゲイであり子供をもうけるために裕福なレズビアンの女性と双方同意の上で結婚していると語る。イヴは優しい夫と幸せそうに暮らしていたが、決して結婚=愛ではなく、結婚=異性愛者同士ではないのだ、という当たり前のことが何度も強調される。 第7話、イヴはヴィラネルが愛した女性アンナの存在に嫉妬し、ヴィラネルはそのアンナを亡くしたうえに唯一の仕事仲間コンスタンティンに愛されていなかったことを知る。嫉妬に狂う二人はついに最終話で対面するが、我を忘れたイヴはヴィラネルの腹をナイフで刺してしまう。腹を抑えながら吐き出した「本当に好きだったのに!」というヴィラネルの悲痛な叫びは、動揺するイヴを正気に戻した。言うまでもないが、ナイフはペニスの象徴である(ヴィラネルはアンナの夫のペニスを切断して殺害している)。ここで思い出すのは「太陽がいっぱい」のアラン・ドロンが同性のモーリス・ロネをナイフで刺し殺す有名なシーンだ。原作者のパトリシア・ハイスミスは実はクローゼットなレズビアンだったことが分かっている。またシーズン2の第1話では、ヴィラネル自身が「あれが彼女の愛情表現」と念押しする。「キリング・イヴ」は、サイコパスの美しい暗殺者を追うスタイリッシュでスリリングなサスペンスでありながら、象徴的なキャラクターを巧みに配置した女性同士の愛と殺意を巡るラブストーリーでもあるのだ。ちなみに第2話でヴィラネルが着ているピンクのドレスが大衆文化に多大な影響を与えたと英語版wikiに書いてある。特に第91回アカデミー賞授賞式に集った映画俳優たちの多くがピンクのドレスを着ていたらしいけど、大衆文化じゃないじゃんセレブだけじゃん。知らんけど。
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