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ばらかもんのmaのレビュー・感想・評価

ばらかもん(2023年製作のドラマ)
4.0
書道家の半田清舟は、ある受賞パーティーで自作を酷評した書道展示館の館長を感情任せに殴ってしまう。見かねた父親によって送り込まれたのは自然豊かな五島列島。愉快で独特な島民たちに戸惑いながらも、書道家として、人として、大切なことに気付かされていく。


最終話の冒頭に出てくる男女に対してはかなり嫌な気持ちを抱いてしまったが、心が洗われるような作品だった。これをハートフルと呼ばずしてなんと呼ぶのか。

天真爛漫で無邪気な子どもたち、どっしり構えて頼りになる大人たち。何もないように見えて、何もかもがある島だった。

餅拾いイベントで島民たちに押し負ける清舟にヤスばが言った、「人に取られたものを欲しがる必要はなか。諦める必要もなか。譲ってやって、もっと大きな餅ば狙え」という言葉がとても素敵だったな。

めちゃくちゃなラブストーリーより、現実を突きつけられる重たいヒューマンドラマより、今期はこの作品のおかげで、水曜日に心の澱をある程度リセットできていた人が一定数いるのでは。

このドラマを観ているといつも、墨の匂いがふわりと漂ってくるような気がした。


余談:わたしも小学生のころ書道教室に通っていた。土曜の午前中。いつもクラシックが流れていて、静かで、たまにおやつをもらって。そして高学年のころはもう、結構サボった。自分が何級までいっていたのかなんてもう分からないや。墨のついた筆を振り回しては先生に激怒されていた他校のダイキくん、中学のときにたまたま部活が同じで再会したけれど、筆を振り回していたとは思えないくらい物静かな男の子になっていたな。懐かしさでいっぱいになるから、書道モノを観られたのはちょっとうれしい。
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