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君が心をくれたからのmaのレビュー・感想・評価

君が心をくれたから(2024年製作のドラマ)
3.7
心に傷があり、現在も名前がきっかけでいじめられている雨は、高校の上級生である太陽に心を救われる。互いに夢を叶えると誓い、離れ離れになってから10年。道半ばで挫けかけたふたりは故郷長崎で再会するが、太陽が事故で重症を負ってしまう。助けを乞う雨に委ねられたのは、あまりに過酷な〝奇跡〟だった。


好き(永野芽郁)✖️好き(山田裕貴)、、!!

こんなことが起こっていいのかと、そしてポスタービジュアルが良すぎてかなり期待していた本作。

しかし中盤までは、観れば観るほどに雨のことが嫌になっていくのがつらかった。太陽のためにすべてを捧げると決めた雨。いくら好きな人のためと言えど、五感をひとつずつ失っていくというのは想像を絶する恐怖だし、ただ単に命を落とすよりもずっとつらいことだと思う。

しかし雨が選ぶのはどれもこれも、誰も幸せにはならない道。美しく見える自己犠牲ってやつは人を傷つけるんだよ。それも大切な人であればあるほど。

しんどかったし、それはやりすぎだよ雨ちゃん!と思うことがたくさんあったけれど、雨なりに太陽を想う笑顔や涙はどれも心にズシンとくるものがあって、、、、永野芽郁、すごいなあ。

最悪ムーブでいえば太陽の妹・春陽もかなりキツかった。この子はこの子で太陽に対して複雑な思いがあり、愛も怒りも太陽の大切な人である雨にぶつけてしまう。根がいい子なので苛立ちと罪悪感でぐしゃぐしゃになっていて、いちばん心を病んでもおかしくなかった子。雨に対してひどいことを何度もしておきながら自分で持つべき良心の呵責に耐えきれず、雨のやさしさに甘えてしまっている弱さには見ていて腹が立ったが、、最終的には前を向けていてよかった、、と、思う。

観ていてときどき涙が滲んできたのは、太陽の心を想えば当然といえば当然。ちょっぴり泣き虫だけど、一途で一直線で一生懸命な太陽が好き。

大切な決断をするとき、ふたりとも同じ言葉が出てくるというのはさすがに心が震えた。あたたかい太陽と恵みをもたらす雨。太陽が「雨はこの世界に必要だよ」と言うときのあのやさしい声。苦しみの中を生きる人間には、絶対に太陽みたいな人が必要だよ。

せつなくも希望が光るラスト、悪くない。

MVPは松本若菜だったとは思うけど、それでも永野芽郁と山田裕貴に拍手。

ふたりとも悩める人だと思う。特に永野芽郁は雨を演じるために、ただでさえ細いのにさらに身体を絞ったと、、、、すこやかでいてほしいよ。忙しいと思うけれど、どうかどうか、きちんと息抜きもして、自分をなくさずに生きてほしい。そしてまた素敵な物語をわたしたちに届けてほしいと心から願うよ。
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