コミュニケーションスキルがほぼ皆無の清美が持つ特技。それは、食べた料理に入っている食材、さらに調味料の量までも当てられること。自分を変えるためのバイト探しに疲れた彼女は、温厚な店主がひとりで営む定食屋「阿吽」と偶然出会ったことで、人生を大きく変えていく。
人とうまく話せない、目を合わせることもできない清美が時間をかけて少しずつ成長していく姿には、思わず心も涙腺もほわっと弛む。
美男美女が地味な役柄を演じるのは無理があるよなあとわたしはたびたび思うのだけど、桜田ひより扮する清美はほんとうに地味なのでびっくりする。桜田ひより、あんなにも可愛いのに、いやいや清美も可愛いのだけど、ビジュアルで押していないというのが凄いのだ。
清美の良さは、狼狽えつつもどうにかしようとする姿や自信なさげにへにゃりと笑う表情、誰かを思いやるときの深い眼差しであって、それが桜田ひよりのビジュアルの良さを超えているように思う。
そんな清美の「灯台」となった阿吽、わたしも行ってみたいなあ。何をどんな風に出してくれるのだろう。さばの味噌煮、食べたいなあ。
清正のこれからも気になるし、いつかこの物語の続きを観られたら、とてもうれしい。
