ーcoyolyー

ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン5のーcoyolyーのレビュー・感想・評価

4.1
大統領選投票日にアンダーウッド夫妻が見ていた映画はビリー・ワイルダー「深夜の告白」のようです。

話がほぼホワイトハウスの中で完結すると私は超面白い。あっち行ったりこっち行ったりすると疲れるからずっとホワイトハウスに腰据えてくれると楽。尻すぼみという感想よく見かけてたけど私はむしろシーズン3以降の方が安定して面白いな。このシーズンは近場の人殺しすぎではあるけど。

回を追うごとに存在感を増すクレア、政権崩壊・権力の瓦解に抗えなくなるフランク、これフィクション超えたドキュメンタリーになってるから戦慄する。ケヴィン・スペイシーの追い詰められ方がもしかしてこの作品も#Metoo告発される契機になってたのかな?と思える。ドラマでホワイトハウス放逐されて現実でハリウッド放逐されて、これリアタイで見てた人は完全に現実とリンクして手に汗握る展開だったろうなと少し羨ましい。
告発は第5シーズンと第6シーズンの間に起こったんでしたっけ、でもすでに第5シーズンでも不穏な空気漂いまくってたんだなと歴史を知った人間が見ると感じ入るものはある。

悲願の米史上初の女性大統領就任での女性陣の沸き上がり方はフィクションでも胸に迫るな。ストーリーはほぼホワイトハウス内で完結してて民衆の姿がホワイトハウス前のデモくらいでしか描かれてないんだけど、実際こんなことあったらものっすごい騒ぎになってたよね。外ではパンケーキ好きとかカープ好きとかそんなレベルのクレア特集がバカ売れしてたんだろ?なんつうか、「ハムレット」観てて「デンマーク国民可哀想(´・ω・`)」って思うレベルでアメリカ国民に同情するくらい政権内部も議員もどいつもこいつも腐ってて、この国の共通認識として史上最低のアメリカ大統領はニクソンなんだなと、引き合いに出されてるのをしみじみと噛みしめたりしました。ケヴィン・スペイシーもだいぶニクソン意識してるように見えた。

力のみで押さえつけていた独裁者の最期はあっけないものだから、現状の日本政治を少し重ね合わせたりもしちゃいますよね。

それにしても頭から低音のシ♭レ♭ シ♭レ♭ シ♭レ♭ シ♭レ♭が離れなくてハウス・オブ・カード授業かなり極まってきた、あと1シーズン頑張ろう。ケヴィン・スペイシーがどんどん荒んで見てるのが辛くなってきてたから正直次のシーズン降板させられていないのホッとする。現場の皆さんもよく耐えた、痛みに耐えてよく頑張った、感動した。
ーcoyolyー

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