ーcoyolyー

大豆田とわ子と三人の元夫のーcoyolyーのレビュー・感想・評価

大豆田とわ子と三人の元夫(2021年製作のドラマ)
3.5
面白いし上手いし受けるのもわかるんだけど、どうも自分にフィットしない、なんだろな?とずっと考えてたんだけど、要はこれ現代のトレンディドラマなんだよね。主人公とその元夫の職業が(恐らく一級)建築士上がりの女社長だのレストラン経営者だのファッション誌カメラマンだの弁護士だのバブリーなんだ。バブリーな衣食住見せつけてくる割に構築してる世界観が貧乏臭くてしみったれてて陰キャみが強いんだ。バブリーなのに脚本家の陰キャっぷりが滲み出ててなんだかチグハグなんだ。この脚本家は自分で描いた世界に生きられない人だよね。この世界の中に作者の分身のような人は誰もいない割に作者の日常で感じてるみみっちいことをギャグとして全員に割り振るからなんか違うなーと私はそういうところで距離ができて醒めてしまう。

でも世の中の大部分は冴えない陰キャで占められてるのでそういうところが受けるんだ。大豆田とわ子がチヤホヤされて満更でもない雰囲気出してるのがTHE普通の人で、あ、これ私全然わからないやつだって。私はチヤホヤされるのが居心地悪くて苦手で引きこもるような人間なので最初の夫・松田龍平のあの辟易とする感じの方がリアルでリアルであの人がかごめちゃん好きになるのものすごくよくわかった。かごめちゃんは誰のこともチヤホヤしないでただその人がどういう人間かだけを見つめてくれるからね、楽だよね。チヤホヤの相手させられ続けて消耗する人生を送ってきた人は自分にときめかない人にときめいちゃうよね。かごめちゃんはアセクシュアルだからその恋もまた互いに地獄になっちゃうんだけども、それも私のリアルだなぁと思う。

私は松田龍平や市川実日子や風吹ジュンの演じた人側の人間なので、ああ普通の世界に適応できてる私の友達は私をこういう風に見てたのか、というのがどことなく見えてきてそれは興味深かった。でも大豆田とわ子さん、ああいう風に割と簡単に恋に落ちる恋愛体質でチヤホヤされるとすぐ浮かれて、あれの何が楽しいのかな?と純粋にわからない。馬鹿にするとかではなくて余りにも感性が違いすぎてポカーンと見てしまう。暗い穴倉から見上げてしまう。私はその暗い穴倉の居心地がいいのでそっちに行こうとは思わないからここから引っ張り出すような余計なお世話はやめてほしいな、と迷惑がるところはある。ただ違う生態系を暴れ回ってる人を観察するのが面白いだけなので。

それにしても従妹と松たか子は歳を重ねれば重ねるに従ってどんどん似てくるのは何故だろう。一応同じ制服は着てたことあるんだろうけど、その制服を着ていた年代の二人はさほど似てなかったと思うんだけどな。

そして私はあんなに普段メガネメガネ言ってるのに9話まで松田龍平と岡田将生以外のメガネがメガネをかけてることに気づいてなくてというか注意を払ってなくて2番目の夫!オダジョー!メガネじゃん!なんで気づかなかったなんで!?とのけぞってしまった。大豆田とわ子メガネ男子愛好家じゃんメガネフェチじゃん、家族にも職場にも恋愛にもメガネが遍在しているメガネ男子ハーレムの住人じゃん!なのに何故私はあの二人のメガネにしか興味が行かなかったのだろう?まじで謎。確かにセルフレームよりメタル・リムレス派の細メガネ愛好派閥にはいるので太めのメガネが似合うタイプよりは断然松田龍平と岡田将生なんだけどそれにしても私のメガネセンサー、メガネレーダーがバグった原因ちょっと突き詰めないと気持ち悪いです。いくら二日で全話一気見したからって9話まで認識に時間かけることじゃないはずなのに…

このドラマ、リアタイで話題になってチェックしようかと思った時には3話くらいでTVerでも追いつけなくなってて終わってから一気見でいっかと今こんなことになってるんですが、何より驚いたのはこれ放送してたのがTBSじゃなくてフジだったことなんです。私キャスティングが「カルテット」ぽかったからてっきりTBSの火曜22時のドラマだと思ってたのに最終回直前に初めてフジテレビ放送ドラマだと知って顎外れそうになった。調べたら「カルテット」のプロデューサーがカンテレに移籍したのでフジで放送だったんですね。「カルテット」みがあるのに何故フジ?という疑問はそれで氷解しました。
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