本シリーズ制作前の1985年、前期作品のプロデューサーであるブライアン・イーストマンが、マリオ・アドルフを主演に原作の短編のドラマ化を企図したが、企画の席上でクリスティーの娘のロザリンドからスーシェを主演とする案が出され、本シリーズの企画が生まれた、縁深い一作。
12本の短編を1ドラマに仕立てた豪奢な作品。
『最終シリーズ各作品の犯人たちは、犯人と犯人以外の無実の人間(そこには、これまでの作品でずっと容疑の完全な埒外にあったポワロすらも含む)のあいだに厳然と存在した境界を揺さぶり、その向こうにポワロがもっとも大事にするもの、そしてそれにまつわる業(は仏教の概念だけど)を浮かび上がらせようとする演出意図が通底しており、本作品の結末もその一環としての脚色なのだろう。なお、「あたくしたちの愛は永遠だと思っていたのに。残念だわ」という伯爵夫人の最後の台詞は、原語だと 'A love like ours could have burnt down a city. Such a waste. (あたくしたちのような愛も、街を焼き払うことができたのね。こんなひどい廃墟みたいに)' という、戦争や革命で故国を追われてそれまでの日常を失った、二人に共通の過去に根ざした表現になっており、それだけ同じものを抱えながら、いちばんに大事にするもののために袂を分かたざるをえない二人の姿を引き立てている。この亡命者という立場によって二人がつながれるのは原作にはない視点で、「二重の手がかり」でのドラマの脚色を引き継ぐものとなっている。』
(https://poirot-database.web.app/episodes/hercules.html)
hepcat
42歳から終活
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kiiiko
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はるちゃん
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Leo
Sunny
いの
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