HARUSUI

夕凪の街 桜の国のHARUSUIのネタバレレビュー・内容・結末

夕凪の街 桜の国(2018年製作のドラマ)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

録画していたので鑑賞しました。
第二次世界大戦から太平洋戦争を題材にした本や映像は、やはり観てしまいます。
日本がされたこと、日本が他国にしたこと、しっかりと学ばないといけない。

この原作を元に、映画化や舞台もされてきているようですが、観たのは初めてです。
主人公の女性七波が、認知症じゃないかと疑っている父親旭を尾行した結果、辿り着いたのは広島でした。主人公の姪もちゃっかり尾行に加わっています。
結構、よくある構成です。
そして、旭がお墓参りをしたり、何軒かのお宅を訪ね歩く様子を見て、七波たちは疑問に思うのです。父は一体何を?
本当に、よくある構成です。
姪の元気もありません。七波がどうしたのかと問うと、沢山のお墓に彫られていた没年月日が、みんな8月6日原爆死となっている。やりたいことをこれから探せる自分は幸せだと、みんなは、やりたいことも途中で奪われたと言って泣くわけです。
ん〜…。今、こういう子はいるのだろうか?授業で習うけれども、この姪は、広島の原爆をあまり知らない様子。そこで、急にこんな感傷的なセリフを言い、涙をポロポロ流せるのか?きれい事言わせちゃダメ。単に古臭い演出になってしまう。

戦後10年のドラマが始まります。
広島市。快活で愛嬌もあるかわいらしい女性皆実。職場でも好かれています。彼女は、10年前の被爆者。時々、自分が生きていて良いのか、あのとき死ぬはずだったのではないかという思いに苦しみます。
けれども、職場の男性に想いを寄せられ、それに応えようと、被爆者であることを告白します。男性は優しく受け入れる。
ですが、皆実の体調はこの日を境に悪くなっていきます。
皆実を演じている方。川栄李奈さんなんですね。アイドルとしか知らなかったのですが、演技上手です。とてもかわいらしい女性、裏では生きていることに対して後ろめたい重い感情を見事に演じています。
時折、口ずさむ歌も線の細い声で歌っていたので、まさか、ハイ!ハイ!メイクの上からいっちゃって〜♫の彼女とはエンディングロールまで分からないままでした。
皆実の最期がとても悲しかったです。
歩けなくなりました。朝はお粥を食べました。午後から何も喉を通りません。川栄さんのナレーションが、心にグイグイきます。かわいらしくほんわかした声を残し皆実は亡くなります。

現在。七波は、旭の訪問先の方から、皆実の話を聞いて涙がこぼれます。
実は旭に尾行していることがバレていた七波と姪。3人は合流します。

戦後10数年後のドラマ。
旭は広島の大学に通うため、養子先から実母の家に戻ってきます。実母は皆実の母、旭は皆実の弟。旭は一人の少女と出会い、勉強を教えます。皆実も可愛がっていた近所の京花ちゃん。数年が経ち、旭は社会人、京花も大人の女性になりました。案の定、二人は結婚するわけです。
京花もまた、被爆者です。七波と息子を産むと、若くしてこの世を去ります。

現在。被爆者2世、被曝者3世と七波と姪はそれぞれ考えることがあるようです。
七波は、付き合っているのか?も分からない同僚のプロポーズをいきなり受けて終了。

観た感想は、似たような構成ばかりで、新鮮味がなく、皆実のくだりしか、惹きつけられるものはありませんでした。
七波に感情移入できず、現在の映像が一番退屈でした。
今回、初めて知ったのは、被爆者であることが差別に発展すること、原爆の被害から助かっても、ずっと苦しみ続ける人がいること。現在では、心的外傷後ストレス障害という病名が周知されているけれども、戦争を経験した方達は、自分で解決してきたのでしょうか。

皆実が最期、
私が死んで喜んでいるだろうか?また1人殺せたことを、
と思うナレーションが入るのですが、多分、原作では結構重要な言葉なのでしょう。皆実の言葉としてであれば、納得できなくもない、ですが、現在の平和や、戦後のアメリカ、ドイツ、イタリア、中国、朝鮮半島の各国の歩み寄りを考えてしまうと、戦争関連死は喜びにはならないでしょう。時代が違うが故に、受け取る側にも相当の差があって、少しモヤモヤとしました。

演技は、文句なしで川栄さん素晴らしいです。
そして工藤さんとキムラ緑子さん、上手だし、振り幅大きいので安心します。