ヒロシー

ザ・クラウン シーズン5のヒロシーのレビュー・感想・評価

ザ・クラウン シーズン5(2022年製作のドラマ)
4.0
エリザベス女王崩御、英国王室が追悼ムードに包まれる中、このドラマは王室から文句が飛び出るのも納得の容赦なさ。王子(現国王)は母親に対して野心に溢れ、妻を徹底的に冷遇し、有害な男性性を憎んでいた筈なのにその沼へはまってしまう(しかしちゃんと彼の優秀さも描く)。女王は長年の責務が故にかつての温かさをどんどん失い、見事に制度を務め上げる。あの外れ者・マーガレットまでも務めを見失わない中、終盤に文字通り火薬を爆発させるダイアナをじっくり描くのはドラマの時間の使い方ならでは。

過去の物語も含め、イギリス史と王室史を絡めながら物語を紡ぐピーター・モーガンの脚本は完璧な職人芸。複数の物語が複雑に絡み合い、歴史と血筋の残酷さがありありと伝わってくるのは圧巻。前半のエピソードは相変わらずそこが素晴らしいだけに、ダイアナにフォーカスしまくる7〜9話、クリフハンガー気味な10話は、既視感のある単調なドラマであまり乗れなかった。

エマ・コリンの後では分が悪いかと思ったが、流石はエリザベス・デビッキ様、見事に仕上げてきました。正直、男らしいハンサムが全面に出たドミニク・ウェストとのアンサンブルはどこかミスマッチだったように思う(それも狙ってる?)。正直不安だったジョナサン・プライスのフィリップも味があった。何より主役のイメルダ・スタウントン、彼女の言葉で語らない演技は本シリーズのシメの主役にふさわしい。
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