ShinMakita

THE WIRE/ザ・ワイヤー シーズン3のShinMakitaのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

(特捜課)
港湾組合を舞台にした国際的密輸事件を捜査していた特捜班は、組合長のフランク・ソボトカを逮捕し、彼を操っていたスピロスという人物を泳がせて組織のボス〈グリーク〉まで辿り着こうとする。しかし、保釈中のフランクが殺害され、スピロスとグリークが国外逃亡したために事件は終結となってしまった。この捜査で名を挙げた班長ダニエルズ警部補は、臨時特捜班を常設の特捜課に昇格させ、マクノルティ、キーマ、フリーマンを下に置き、班を離れていたプレッツ、シドナーを呼び戻した。しかし班のムードメーカーだったカーヴァーとハークのコンビはダニエルズと袂を分かち、西部管区署麻薬課へ移動する。ダニエルズの特捜課が次の標的に選んだのは、港湾密輸で麻薬を手に入れていたプロップ・ジョーという大物だ。彼は東部管区のシマを仕切っており、最近ライバルだった西部管区のバークスデール・ファミリーと協調するようになったらしい。マクノルティは以前の盗聴捜査(シーズン1)でバークスデールのボス・エイヴォン逮捕にはこぎ着けたものの、実質的なファミリーの頭脳ストリンガー・ベルは取り逃がしていたため、俄然張り切って捜査を開始。プロップ・ジョーの配下チーズが電話で「友人を撃ち殺した」と漏らしていた会話を盗聴し、これをとっかかりにチーズを逮捕してジョー→ストリンガーと芋づる式に挙げようとする。が、チーズが撃ち殺したのがただの闘犬だったことが判明。捜査は暗礁に乗り上げてしまった。

(バークスデール)
町でのドラッグビジネスもかなり様子が変わっていた。バークスデール・ファミリーの主な縄張りだった低所得者用高層団地が取り壊されてしまい、ファミリーの売人たちは西部地区一帯のストリートに散らばって商売をすることになった。すると、マルロら他組織の売人たちと衝突することになる。しかも点在させることになった麻薬保管場所の警備が薄く、オマールという独立系ギャングの格好の標的になってしまう。問題続きで、トップであるストリンガー・ベルは頭を抱えるが、そこに出所したばかりの元組員デニス・ワイズ(カティ)が現れる。

(ボルティモア市警)
港湾密輸事件後、市警ではかなりの人事異動が行われた。副警察長だったバレルは警察長となり、市警のトップに君臨、市長と昵懇となる。殺人課の長だったロールズ警視は副警察長に昇格、各管区の署長たちを定例会議に呼び出し、犯罪件数を下げるよう檄を飛ばす。成績が悪いと会議でロールズに吊るしあげられクビや降格を言い渡されてしまうから、各署長たちは戦々恐々、中にはプレッシャーに潰され身体を病む者も出てきてしまう。だが、西部管区署長のコルヴィン警視は、ある秘策を打ち出してこれに対処する。西部地区の売人たちを、管区の外れにあるゴーストタウンに集めて、そこで商売するならお咎め無しという方針を打ち出したのだ。キリのない売人検挙を止めて、殺人などの犯罪に人手を割いて検挙率を上げようというのだ。そんな中、バレル警察長に1人の市議会議員が近づいてくる。それは白人のトミー・カルケティ。次期市長の座を狙うカルケティは、バレルの不満を聞き入れ、市警を味方にしようという魂胆らしい。

(再び特捜課)
盗聴捜査の失敗からプロップ・ジョー逮捕を断念したダニエルズは、標的を変更し、北西管区の売人キンテル・ウィリアムソンを追うよう指示を出す。妻マーラが市議会選に立候補することで家に居づらくなったダニエルズは、検事補ロンダ・パールマンと不倫の関係に陥っていた。マクノルティは以前ロンダと付き合っていたため複雑な思いだが、それより、聞いたこともない売人を追えという指示は頂けない。彼の標的はストリンガー・ベルなのだ。そこで命令を無視し、独自に捜査を開始するマクノルティ。ストリンガー逮捕のとっかかりのため、刑務所で自殺したディアンジェロ・バークスデールの事件を洗い直す。ファミリーの全てを知り尽くしていたディアンジェロが口封じで殺されたのは間違いない。だが、肉親のエイヴォンが殺るはずもない。となると、ディアンジェロ殺害を指示したのはストリンガー・ベルのはず…という筋読みだ。


「THE WIRE /ザ・ワイヤー」シーズン3。さらに複雑化する人間関係と、デニス・ルヘインやジョージ・ペレケーノスらが紡ぐリアルなストーリーに、今回もハマりました。マクノルティvsストリンガー・ベルの対立を軸に、警察組織の機能不全、議員たちの狡猾な立ち回りも描きます。さらに、ついにボスのエイヴォン・バークスデールが出所し、ストリンガーの立場がどうなるか…?
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