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アトランタ:略奪の季節のHALのレビュー・感想・評価

アトランタ:略奪の季節(2018年製作のドラマ)
4.7
『アトランタ』、随分間を空けてしまったけどシーズン2見始めた。相変わらずヴァンの台詞がいい。「"はじめまして"と言うべきだかーー俺は"時間"という概念を信じない。すでに仲間だ」この何言ってるんだコイツ……感というか、アブなすぎて逆に極めて明確な自己紹介になってる感じ、『ディスコ・エリジウム』以来だぜ。

『アトランタ』S2E3、これまでの金が無いエピソードから一転して印税を派手に遣う話に……と思いきや行く先々で遣おうとする「100ドル札」のために面倒ごとに巻き込まれるアーン。結局辿り着いたストリップクラブで「大金を遣いたければ売人のように振る舞え」と忠告される始末。ストリップクラブの場面がまるで『サイバーパンク2077』みたいで、彼らが未来として進む先はこういう場所になるしかないのか?やっぱりヴァネッサが登場する回はいつも引き締まった見応えあるエピソードになる。最後のオチは切れ味良すぎてめちゃくちゃ笑ってしまった。夜遊びに失敗した二人に幸あれ!

ついつい間を空けてしまうけど『アトランタ』シーズン2を視聴再開した。第5話、ペーパーボーイは髪を切りたかっただけなのに、クレイジーな散髪屋のせいでひどい目に遭う……というだけの回。シーズン中盤はこういう散発的なショートショートが光る。この話にサンダーキャットを流すのもニクい。

『アトランタ』S2E8「森」面白かった〜!!ペーパーボーイ単体のエピソードはハズレがない気がする。街の暴力やSNSに追いやられて「森」に迷い込むというプロットも面白かったが、最後のコンビニで「リアル」なセルフィーを撮る時に見せるペーパーボーイのロッキーみたいな笑顔にやられた。

『アトランタ』S2完走!いやー沁みる最終回だった。中盤はペーパーボーイのソロ回が光っていた印象だが、終盤物語がアーンの元に戻ってきた途端にこのシリーズのもつ残酷さと悲惨さが牙を向く。特にE9とE10は辛かった。カメラはボンネットに座って見つめ続けるペーパーボーイの眼差しを捉え続ける。S2最終回、三人で行く(最後かもしれない)旅の直前のひと時。荷造りは終わらず、ダリアスのパスポートは切れている……が全てはギリギリのまま何とかなる。いつもみたいに失敗すれば終わらなくてすむのだろうか?解けた紐が新しく結び直されるような、この時間を見せてくれてありがとう。

『アトランタ』、去年『ベター・コール・ソウル』が完結してしまって以来のかけがえのない「アメリカ残酷ドラマ」の一つです(日本の残酷ドラマは『鎌倉殿』あたりがそう)。なんたって「略奪の季節」なのだから……(この季節は過ぎ去ってくれるのか?)これを見終わってしまったら、Blu-ray BOX買って安心して放置してた『ツイン・ピークス』の新シリーズでも観ようかな。
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