母の治療に高価な薬が必要だと知った娘のおけい(唯月ふうか)は、金を工面するため、素性を明かさない金持ちの和助(渡辺いっけい)の妾になることを決める。約束の日、おけいは隠れ家で待つが、和助はその日現れなかった。翌日、おけいが養生所に母の見舞いに行くと、大けがを負った和助が横たわっていた。一方、赤ひげ(船越英一郎)は大岡越前(宅麻伸)から、新たに幕府が開校する医学校の校長になるよう命じられるのだが…。
高熱のため運び込まれたおたね(戸田菜穂)は快方に向かったが、十数年前からの記憶がなかった。一方、仕事もせず飲み歩き暴れていた竹二郎(辻岡甚佐)が大怪我をして養生所に運び込まれた。竹二郎は妹のおさよ(佐竹桃華)に縁談話が持ち上がったことで、自分が妹に惚れていることに気付き、暴れていたのだった。そんなある日、竹二郎は妹との間に血のつながりがないという事実を知る。竹二郎はある決断を妹おさよに告げる…。
家事に長け医術の心得もあったおたね(戸田菜穂)を赤ひげ(船越英一郎)は養生所で働かせることに決めた。そして盲目の老女・お静(銀粉蝶)の世話を任せてみた。一方、養生所に衰弱した女・お菊(坂井真紀)が運び込まれた。お菊は食事をせず死のうとしていた。なぜ死にたいのか、その理由は判らなかった。ある日、お静を見たお菊は食欲を取り戻し、お静の世話をしたいと申し出る。お菊はなぜか名を偽り、お静の世話をする…。
空のおくるみを抱く女・お華(紺野まひる)。父が死に気の病になり、養生所に入ることになる。幻の子はお華のよりどころであるため、おたね(戸田菜穂)はお華に合わせ子守歌を唄う。そんなおたねは、かつて自分に子供がいたのではと失われた記憶を探る。ある夜、お華は「清吉さん」と叫び暴れだす。実はお華が気の病になったのは別の理由があったのだ。それは、将来を誓い合った清吉(竹財輝之助)の出奔が原因だったのだ…。
実の息子ではないことから育ての親に蔑まれ、嫌がらせを受けていた商家の三男坊・幸介(田村健太郎)が、腹痛に襲われ養生所に担ぎ込まれた。親身に世話をするお雪(真凛)に涙を流しながら感謝する幸介。あまり感謝されたことのないお雪はそんな幸介に入れ込んでしまう。その気持ちはやがて恋へと変わり…。ある日、幸介に本当の母親がいるという話を聞いたお雪は母親探しを決意する。果たしてお雪の恋は成就するのだろうか…。
必死の形相で喘息の息子・長太郎(番家天嵩)を養生所に担ぎ込んだおゆり(白石美帆)。その姿は我が子を思う母親そのものだった。しかし、つぐみ(優希美青)は長太郎からおゆりが本当の母ではないから厳しいのだと聞く。その反動から、やさしいおたね(戸田菜穂)になつく長太郎。ある時、つぐみは町で偶然おゆりを見かける。おゆりは足が傷だらけになりながらお百度参りをしていたが、倒れて養生所に運ばれることになる…。
川辺で倒れていた重吉(宮川一朗太)が養生所に運ばれてきた。重吉には妻・お直(西尾まり)と多くの子がいて仲睦まじい家族だった。しかし、気が付いた重吉の表情は暗かった。そして、身投げの疑惑が浮かんでくる。重吉は人知れず悩んでいたようだ。一方、大岡越前(宅麻伸)からの医学校校長就任の依頼も待ったなし。去定(船越英一郎)は追い込まれていた。そんな折、おたね(戸田菜穂)は自分の命の灯が短いことを悟る…。
病床のおたね(戸田菜穂)に失われた記憶を語る赤ひげ(船越英一郎)。やがて全てを思い出すおたね…。一方、養生所に運び込まれた善助(植木祥平)は若くして不治の病に侵されていた。善助の許嫁・おくみ(山﨑果倫)は、たとえ善助の命が短いとしても夫婦になりたいと泣く。そんな二人に養生所で祝言を挙げることを許す赤ひげ。時を同じくし、保本(中村蒼)とまさを(奈緒)夫婦に子が生まれた。優しく赤子を抱くおたね…。