タケオ

マンダロリアンのタケオのレビュー・感想・評価

マンダロリアン(2019年製作のドラマ)
4.5
 「正統性の担保」や「ファンへの目配せ」に終始してしまった「シークエル・トリロジー」は、結局のところ「スターウォーズとしてのスターウォーズ」という"閉じたサイクル"の中でしか物語を構築することができていなかった。
 一方で『マンダロリア』のシーズン1(19年)は、「連続活劇」「マカロニ・ウエスタン」「時代劇」「戦争映画」などの豊かな映画的文脈を基盤とした、「エンターテイメントとしてのスターウォーズ」の中で物語を構築することに成功している。「オリジナル・トリロジー」がそうであったように。矛盾したもの言いに聞こえるかもしれないが、『スターウォーズ』というフォーマットに縛られすぎない「自由」こそが、『マンダロリアン』を決定的に『スターウォーズ』たらしめているのである。「スターウォーズとしてのスターウォーズ」という「シークエル・トリロジー」が生んだ"閉じたサイクル"から解放された『マンダロリアン』は、どこまでも自由に、そして雄大にスターウォーズの世界を拡張してみせた。あの世界をもう一度信じていいのかもしれない——そう思わせるだけの「説得力」と「感動」が、『マンダロリアン』には確かにある。
 そう、「説得力」と「感動」だ。それこそ「シークエル・トリロジー」に欠けてしまっていたものであり、そして「新たなスターウォーズ」が真に提示すべきビジョンのはずではなかったか?はるかかなたの銀河系に煌々と輝く「希望」、今自分が生きている日常と地続きにある世界としての『スターウォーズ』が、遂に帰ってきたのだ。
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