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破獄のpongo007のレビュー・感想・評価

破獄(2017年製作のドラマ)
3.3
 今時の刑務所でも、囚人は非人道的な扱いを受けているのに、この映画の舞台になった大正時代なんて、今より人権意識が希薄なんだから、この映画の描写以上に相当酷かったに違いないですね。山田孝之が何回も脱獄するのはよく分かります。

 刑務所の中で、なんで看守どもによる囚人への虐待が行われるかというと、絶対的な立場の差、力関係があるのと、閉じられた空間で、看守どもを監視する公平な立場の第三者がいないからですね。本来は看守どもを監視する抑止力が必要ですね。同じような構図は、入管の収容施設とか知的障害者福祉施設、それこそ、学校とかにも見られますね。

 昔、成田空港の入管職員に、とんでもないS男がいて、不法入国のイラン人とかスリランカ人とかを調べるときに、毎回覚え立てのテコンドーの技を使って虐待していました。東南アジアや中南米女性らに対するレイプ情報もやまほどありました。閉じられた個室の中でやっているから、止める人はいないんですね。すべてはなかったことになる。

 取材を掛けたら、成田の入管のトップが出てきて、すごい剣幕で「あんたらに話すことなど何もない!」って怒鳴り散らかしていました。真実だと確信しましたね。当然記事化はできませんでしたが。

 名古屋入管に収容されていたスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんが入管に殺されたのも、たまたま表面化しただけで、こういう虐待は、いつもありますね。構造的な問題です。

 ということで、そういった暴力施設の構造的な欠陥は改善されなければならず、この映画で、山田孝之が何度も脱獄したのは、そういうことを世に訴えるためだったので、山田孝之は悪くないですね。
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