西田千夏

ポイズンドーター・ホーリーマザーの西田千夏のレビュー・感想・評価

5.0
あらすじに惹かれて鑑賞しました。
どうか多くの人にこのドラマを見て欲しいと思う。


自分はWOWOWを契約してないので見放題配信されるまで見ることは出来ないけど、
運良くU-NEXTで配信されていたので見ることが出来ました!

『前科者』とか『ソロモンの偽証』(見てないけど)もそうだけどWOWOWってこういう人権について描いたり人生を考えさせられるようなドラマを作ってるのか?それともたまたま?
ま、いいや。


オムニバス形式なので話やテーマはそれぞれ違うけどどの回もすごく共感出来る人物がいるし、考えさせられる台詞や場面、状況がありました。


1話、2話では娘目線か母親目線かで話が進んでいく。娘目線で話を見た時は、「この母親め!」と母親に怒りが沸いたけど母親目線で話を見た時には「この娘って奴は!」と佳香に怒りが沸きました。つまり、どちらか一方が悪いということ決してはないということ。愛の与え方が不器用で、愛の捉え方が上手くいかないだけ。母親にはなり切れないし、娘にもなり切れない。そんな感じのね。
その記憶や言葉、過去、関係は時には自分も相手も傷付けてしまうナイフであるということ。他人の「記憶(過去)」に自分が関わって生きてるということの難しさと苦しさを感じる回でした。


3話では、幸奈よりも正幸に共感してしまった。他人から、むしろ自分としては忘れたい、忘れようとしている人からあたかも自分の全てを知ってるかのように物事を語られていくさま。「自分の「今」に入ってこようとしないで欲しい」と思う彼にどこか自分と似たものを感じたからかもしれません。見ている者に「子供の頃の記憶や人との関わりが本当に正しいのか」と問われたようにも感じました。正幸演じる高橋優斗くんのサイコ感がすごい好きでした。笑


4話では、これまでの話や出来事を絡めながらということもあって自分の中で話としても展開としても盛り上がった回でした。ライバルや自分の目標を達成出来なかったり先越されてしまう状況があることへの苦悩や葛藤、嫉妬。年齢もそこそこ行ったから諦めるべきなんだろうけど、何としてでも夢を掴みたい一心の涼香。自分もまさに夢や目標が達成出来ずに焦っていることもあり、大いに共感してしまいました。涼香演じる中村ゆりさんの表情や台詞もまさに自分のことを言ってるかのようで、自分の今を見てるような気がしてならなかった。ちょっとサスペンス要素もあって面白かった回でした。


5話は、変にリアル味を帯びている上、明日実の立場に納得したり共感したりしてしまう自分がいた。「誰に「ごめんなさい」って謝ったんだろう。」そんな状況にも居るとそうなってしまうよね。友彦の「優しさ」に対する執着心が異常なまでに怖かった。明日実の「優しい子になりなさい」という束縛のような言葉に締め付けられ過ぎると血を浴びせ、浴びるはめになる。


6話は、申し訳ないくらいに登場人物に共感出来なかったけど、自分だけの世界に他人が足を踏み入れた時、当然のごとくその世界は終わるわけだから再生させるために、壊れなかった部分だけでも守ろうとするようにする行動は分かる気がする。地元に居ることの閉塞感や家庭内差別、姉妹の軋轢などまさに本作全体を表しているような回でした。



久しぶりに面白いドラマを鑑賞出来たことだけでなく、自分の姿をそのまま見せられたかのような作品に出会えたことにどこかありがたさを感じました。


個人的には友彦、正幸、乃愛 、郷賢たちの話も見たい。







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