トリッキーな構造で度肝を抜いた「ワンダビジョン」も良かったけど、
「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」も予想通りだけど本当に素晴らしかった。
略してバキ翼最高だったよ…。
「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」の濃度をそのままに今のアメリカの現代史をMCUのドラマシリーズで描いたらこうなるというような作品だった。
黒人差別、PTSD、マチズモなどなど…。
特に敵がQアノンなテロリストだけど、彼らには彼らのまっとうな主張があって、
単なる「悪」として割り切れないのは実にMCUらしい。
バディモノとしての楽しさも勿論あるんだけど、
本作の肝は黒人であるサムがいかに「キャプテン・アメリカ」の魂を継承するかという点にある。
キャップの盾を記念館に寄贈してしまうのは単なる自分の能力不足みたいなところかなと思いきや、
アメリカ国内で圧倒的に差別される対象である自分がアメリカの象徴にはなれないという点が理由だった。
実際、劇中アベンジャーズなのに5年間消えていた事を理由に融資を受けれなかったり、バッキーと揉めていたら自分の方が尋問されたり、MCUの世界を忘れさせるくらい徹底的に黒人の生きづらさを描く。では、白人で国から認められた”二代目”キャプテン・アメリカ的な存在のあの人物もエリートとして結果を出さなければならないという重圧につぶされそうになる。つまりは、「キャプテン・アメリカ」というある種の呪いに折り合いをつける人々の話でもある。
だからこその最終話でのあの姿、あの選択が胸を打つ。
また、若干ネタバレかもしれないけどラストの「俺には超人血清も金髪も青い目もない」「俺が持つ力は『より良い世界を造れる』と信じる心だけ」ヒーロー的にもブラック・ライブズ・マター的にも100万点だった。
エンドロールの演出もニクい！最高！
