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チェルノブイリのHKのレビュー・感想・評価

チェルノブイリ(2019年製作のドラマ)
4.3
『ゲーム・オブ・スローンズ』『ウエストワールド』などでお馴染みドラマのHBOが製作したミニシリーズ全5話。ゴールデングローブTVドラマ部門の作品賞を受賞。
スターチャンネルの初回放送時にはスルーしてしまい、今頃ようやくU-NEXTで視聴。
さすがのHBOクオリティでグイグイ引き込まれました。

チェルノブイリ原発事故が起きたのはまだ冷戦下の1986年。当時のニュースは漠然と憶えてはいるものの、事故の詳細はほとんど知りませんでした。
多くの人が事の重大さに気づく前に、どんどん取り返しのつかない悲劇に向かっていく経緯が実に恐ろしく描かれます。
「1時間ごとに広島の原爆の約2倍の放射線を出し続けている」
「あそこで作業すれば1週間で死にます。作業員を殺す許可をください」
「我々も5年以内には死ぬでしょう」
ギョッとするセリフが次から次に出てきます。
製作が米英で当事者たちが絡んでいないのが引っ掛かりますが・・・

本作で一番の主役、ソ連の化学者ヴァレリー・レガソフを演じるのはジャレッド・ハリス。
フィルモグラフィを見ると出ている作品をけっこう観てるのに顔には全く覚え無し。
Wikiでなんとリチャード・ハリスの次男と知りビックリしました。

初めはレガソフと反目する政府の高官ボリス・シチェルビナにはスウェーデンの俳優ステラン・スカルスガルド(本作でゴールデン・グローブ助演男優賞を受賞)。
この人も出演作は何本も見てますが、顔をなかなか覚えられず最近になってようやく覚えました。

女性化学者ウラナ・ホミュックは実在した人物ではなく、レガソフに協力した化学者たちを統合したキャラだとか。演じたのはエミリー・ワトソン。
同じHBO製作の映画『ライフ・オブ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方』にも出てました(この映画はキューブリックのファンにもおススメです)。
他に見憶えのある役者は第四話「掃討作戦」のバリー・コーガン(『聖なる鹿殺し~』『エターナルズ』)。何の掃討かと思ったら・・・

しかし、現ウクライナのこの原発を含む広い範囲で、自然災害でもなく、今まさに人間同士が大規模な戦争をしているというこの時代の逆行は常軌を逸しています。
『ドント・ルック・アップ』のような悪い冗談を彗星ではなく人間自身の手で現実に行っているようなものです。
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