デパルマ

2034 今そこにある未来のデパルマのレビュー・感想・評価

2034 今そこにある未来(2019年製作のドラマ)
4.0
2019~2034年の世界情勢を英国の一家族の視点から描くパニックドラマ。政治討論で過激にまくし立てるポピュリストのトランプのような橋下徹のような女性の政治家が、イギリスを崩壊に導くんだけど、実は彼女は操り人形に過ぎず、彼女の後ろに男性の影を示唆させる展開凄すぎて言葉出なかった。しかも2030年代には増えすぎたウクライナ難民をナチスのような収容所に収監するなんて構想も出てくる。2019年に作られたのは思えないリアルで悍ましい未来予想図。また、金融アドバイザーとして働きリベラルであろうとしていた白人で異性愛者の長男スティーヴンが、経済的にも家庭的にもどんどん転落していく様がえぐすぎる。彼が長男であることから家父長制の批評なんだろうけど、このドラマでは異性愛者で白人のシス男性が徹底的にダメな人間として辛辣に描かれているのが面白い。主人公家族の最年長はおばあちゃんだが、これはイギリスにおけるエリザベス女王の立場と重なる。つまりこれから家族=王室=国のリーダーシップを執るのは、男に操られた女でも、無自覚に権力側に甘んじてきた男でもなく……。
デパルマ

デパルマ