Larx0517

ドラキュラ伯爵のLarx0517のレビュー・感想・評価

ドラキュラ伯爵(2020年製作のドラマ)
3.8
新たなドラキュラ像の再構築。

エピソード1の冒頭38秒で思わず停止し、クレジット確認して納得。

ドラマ『SHERLOCK』のクリエイター2人が製作総指揮。
スティーヴン・モファット。
マーク・ゲイティス。
ゲイティスは今作では脚本も書いている。
さらにシャーロックの兄マイクロフト役を演じ、今作では、エピソード3のフランク・レンフィールド役を演じている。

今作の目玉は、なんといってもエピソード3。
地雷にもなりうる。
好き嫌いがはっきりと分かれるのではないだろうか。
ドラマ『SHERLOCK』でも見せた、英国古典作品のモダン化。
このクリエイターコンビの真骨頂。

かといってあまりに突飛にならないのは、従来のドラキュラ作品の延長線上にある、エピソード1と2の「助走」。
さらにクラシカルなイメージのある、「若すぎない」デンマーク人俳優クレス・バングの起用。
この2つの要素が、本丸のエピソード3への橋渡しになっている。

ドラキュラが十字架を恐れる理由など、新たなドラキュラ像の考察は非常に興味深い。
その過程も面白い。
コメディやサスペンス要素など絡めながら、見せ方も上手い。

特にエピソード2では、サスペンス仕立てに、ミステリ要素が加味されている。
ネタバレに抵触するかもしれないので、エピソード2のコメントに書いておく。

一方、肝心の考察の結果がさほど「破壊力」がない。
それがラストにつながり、カタルシスを産むほどのインパクトに繋がらないのは残念。

充分に面白い。
ただ『SHERLOCK』ほどの、斬新さ、オリジナリティはない。
勝手に期待値を上げて、勝手に残念がる。
映画、ドラマ好きの弊害だとは自覚している。
それでもやめられない、やめるつもりもはなからない哀しい性(さが)。
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