「今私は誰か責める相手が欲しい
間違っているのは分かる
だがこの怒りをぶつける相手が必要なんだ」
大切な人を亡くした時、人は悲しみと同時に怒りを抱える。
それを誰かにぶつけずにはいられなくなる。
たいていはその相手は身近な人で、心ない言葉で傷つけてしまう。
怒りをぶつけないと、自分の心が悲しみに耐えられなくなり壊れてしまう。
無意識の自己防衛。
ダンの場合は、その矛先が医師だった。
普通息子を殺した犯人を責めるところだが。
その行為はストーカーじみてくる。
追い詰められる医師。
正直心地よいドラマではない。
見ている方がつらくて息苦しくなる。
「君は自分の怒りと不満を
私にぶつけているだけ」
息子のことだけでなく、彼の不遇すべてを医師のせいにしている。
真実を知りたいダン。
では彼が医師の妻に送りつけた写真、彼女に吹き込んだのは「真実」なのか?
「すべて」を見届けた後、スッキリした人はいるのだろうか?
ダン以外の人間で。
ドラマのなかだけでなく、このドラマを見た人間も含めて。
少なくとも自分は違う。