BOB

ノーマル・ピープルのBOBのレビュー・感想・評価

ノーマル・ピープル(2020年製作のドラマ)
4.2
アイルランド人作家サリー・ルーニーの世界的大ヒット同名小説をBBC & Huluでドラマ化。

監督は『ルーム』のレニー・アブラハムソン、主演は『ザリガニの鳴くところ』のデイジー・エドガー・ジョーンズと、『アフターサン』のポール・メスカル。

"I Guess We Just Misunderstood Each Other."

原作未読。

ざっくり纏めると、"思春期に出会ったミレニアル世代の男女による4年間に渡る恋の変遷"だが、ただのすれ違い恋愛ドラマには留まらない、心理学的に深い男と女のドラマがあった。二人とも現実的なキャラクターで、孤独感、疎外感、孤立感、自己嫌悪、自責の念を抱えている。精神的な不安定さや危うさがあり、何度も心苦しく、居た堪れなくなった。同郷の二人だが、社会的地位や家庭環境は対照的だった。

ドラマチックな演出はなく、二人の繊細な心情に寄り添う形で、日常風景を切り取っていくスタイル。映像が美しい。

マリアン。
・頭が良く、はっきり自己主張する。
・家族問題から、"自分は人から愛されない人間である" "罪を受けるべき人間である"という考えに囚われている。自分からトラブルに突っ込んでいったり、マゾヒズムに走ったりする。
・マリアンのキャラクターをより理解するために、マリアン家の過去に何があったのかもっと知りたかった。そうすれば、母、兄、サディスティックな彼氏達に対するモヤモヤを解消できたと思う。
・デイジー・エドガー・ジョーンズがひたすら可愛い。

コネル。
・文武両道の人気者だが、根は内向的。読書好き。口下手でシャイ。自己主張を避けがち。
・「マリアンへの態度は普通だ。自分が変人なだけで。」"普通でありたい" という考えに囚われている。ポリアモリー?
・ポール・メスカルの鬱演技が素晴らしかった。真に迫るものがあった。後半は、『アフターサン』が何度も頭を過ぎった。

こんなにも生々しいセックスシーンを連発するドラマは初めて観た。驚きはあったものの、言葉では表現できない二人の親密さや相性の良さを描くために、不可欠なシーンだったと納得できた。これらがないと、暴力シーンのない『時計じかけのオレンジ』みたく、説得力に欠ける作品になっている可能性がある。

アイルランド最古の国立大学トリニティカレッジ・ダブリン。素敵!
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