BOB

ダーマーのBOBのネタバレレビュー・内容・結末

ダーマー(2022年製作のドラマ)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

1978~1991年の間に17人もの青少年を殺した実在の連続殺人鬼、"ミルウォーキーの食人鬼"ことジェフリー・ダーマーを題材にしたドラマ。

"I hear you, and finally others have too." "Your voice is gonna make a difference."

犯罪心理に興味を惹かれて鑑賞。

滅入った。これは賛否両論を呼ぶ。

実在の猟奇殺人犯を題材にしているということで、当然見ていて気持ちの良い話ではない。カニバリズム系の吐き気をもよおすほど生々しい描写も多々あった。制作陣の遺族に対する配慮は見受けられたが、終盤で描かれる遺族の二次被害の苦しみを見ていると、本作をエンタメ作品として消費している自分の行為に罪悪感を覚えた。

ジェフリー・ダーマーのような人間がなぜ生まれてしまったのか、どこで道を踏み外してしまったのか。明確な原因は不明だが、幼少期に十分な親の愛を受けられなかったことは彼のその後の人生に大きく影響しているだろう。

1~7話まではホラー寄りのクライムミステリードラマ、7~10話は社会派ドラマといった印象。キーワードは、孤独、人の話を聴くこと。「唯一支配できた相手が死体だった。」

👍
・時系列を操作したストーリーテリングが巧い。第1話でジェフリー・ダーマーが逮捕される日を描き、第2~7話でジェフリー・ダーマーが警察に供述する形で、なぜ彼がこれほど長い期間逮捕されなかったのか、彼の生い立ちと一連の事件の真相が、本人視点、父親視点、被害者・遺族視点、近隣住民視点と、立体的に描かれていく。そして第7~10話からは、ジェフリー・ダーマー逮捕後の本人とその家族の対応、被害者家族の二次被害の様子が描かれる。
・ニオイ演出が巧い。第1話のオープニングから死臭が漂ってきた。
・エヴァン・ピーターズがトラウマ級の怪演。通常は脱力状態だが突発的に怒りを爆発させるサイコパス。

🤔
・子供の興味を大切にするとはいえ、父親が自宅のガレージで死体の解剖を教えるか。
・犯罪を未然に防げなかった警官二人はなぜ表彰されたのか。
・ジェフリー・ダーマーがカルト的人気に。コミック化。本人がテレビ出演。刑務所にファンレター。直筆サインを売る。私有物がオークションに。事件現場に野次馬が。ダーマー父親が書いた小説「父親の物語」がベストセラーに、映画化の話まで。ブギー・マン。
・それでも神は全てを許すのか。

アルコール中毒。薬物。夫婦・家庭問題。LGBTQ。ゲイクラブ。警察の黒人・移民差別。マスゴミ。キリスト教。
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