ヒロシー

逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!のヒロシーのレビュー・感想・評価

4.0
久しぶりにリアルタイムで日本のドラマを見た。これだけは見なければいけないだろう、と確信していたからである。2時間スペシャルドラマに、これでもかというぐらいの苦しみを詰め込んでいる。みくりの出産が中心となってはいるが、当然のように平匡に男らしさの呪いも降りかかる。男女それぞれの苦しみをどちらかに偏った形で表現せずにちゃんと描くと、ガッキーにハグされる星野源を見ても「男が甘やかされているドラマ」なんて思わないのだ。二人が「産まれてから性別が変わるかもしれない」とごくごく自然に考えているのは、苦しんだ二人だからこそ説得力がある。

所々でお互いの振る舞いにモヤモヤし、他者を愛して寄り添うことの難しさを徹底的に描写し、葛藤を経て心が再び繋がった二人を一回見せたからこそ、終盤、どうしようもなく物理的に離れなければならない時がきたときん絶望感も半端ない。それを一回百合ちゃんパートで見せているのも素晴らしい。結婚とも出産とも無縁だった彼女が、彼女だからこそ味わう苦しみには本当に胸が痛かった。

「結局、恵まれた人の話じゃん」という批判は本当にごもっともである。隙がなさそうな(というか、他の日本のドラマがスッカスカなんだけどね)作品でもちゃんと批判されるのを見ると、何年か前に『ズートピア』の批判的意見を見たのを思い出す。ポップ・カルチャーはこうやってもっと大きくなっていくのだ。
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