消費者

サンクチュアリ -聖域-の消費者のレビュー・感想・評価

サンクチュアリ -聖域-(2023年製作のドラマ)
5.0
・ジャンル
スポ根/青春/ドラマ

・鑑賞期間
7/5〜7/9

・あらすじ
寿司職人の父が借金で店を手放しバイト暮らし、母はそんな夫を見捨てたかの様に男遊びに走っているという状況の中
優れた柔道の腕を持っていた2人の息子、小瀬清は有り余る力を武器に手の付けられない一匹狼の不良となっていた
しかし父、浩二が倒れた事をきっかけに彼の人生に転機が訪れる
旧知の仲である相撲部屋の親方、猿将からの勧誘である
金、地位、名誉、女…
若い清は親方のちらつかせた餌に食い付き、父の病院代や寿司店再建も兼ねて猿将部屋の弟子となった
柔道で慣らした腕力、無敵の不良だった過去
それらによるプライドを捨てられず四股を踏む事さえ拒み、親方や兄弟子にも食ってかかり問題ばかり起こし続け鼻つまみ者となってしまう清だったが、相撲を諦めた弟子仲間の清水や彼の素質を見込む兄弟子の猿谷や親方の厳しくも愛のある後押しを受け角界に揉まれながらめきめきと実力を付けていき…

・感想
単刀直入に言ってドラマとしてあまりにも完璧だった
ただ破天荒で青臭い悪ガキが力士として成長していく、という訳ではなく猿将部屋やその他の部屋の力士達や上司の裏切りで政治部から左遷された相撲担当記者の飛鳥などそれぞれのドラマが上手く噛み合い情報過多にならない様、上手く展開させていたのがまず素晴らしい
清がすんなりと変わっていかないのがまた良いんだよなぁ…

そして大相撲という題材を介して保守的なホモソーシャルを本作は描いているが猿桜や飛鳥を通してその醜さや問題点を指摘するだけではなく同時に美しさもしっかりと見せていくのもバランス感覚が優れていて最高

また相撲だけの話ではなく社会全体に当てはまる様な歪さを角界の政治などを介して提示する事で単なるスポ根に終始しないドラマとしての魅力を打ち出していたのも本作が名作たる所以という感じで印象的だった

猿桜役の一ノ瀬ワタルやその他の登場人物のキャスティングにおいてもテレビドラマの様な媚びた方向には行かずあくまでストーリーや人物像にしっかりとマッチしていたし、それでいて相撲が特別好きでなくとも惹き込まれる世界観を最後まで維持していたのも完璧

自分もそうだけど本作を観て相撲に興味が湧いた、という人は多いんじゃなかろうか
こういう熱量と手腕が相乗効果を生み出している作品こそしっかりと相応の評価を広く受けて欲しいなぁ…
消費者

消費者