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ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路の消費者のネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ラブクラフトやクトゥルフをあまり知らないという事を差し引いてもよく分からない部分の多い作品だった
ホラーというより社会派要素の強いダークファンタジーという様相で映像の迫力や役者陣の演技力などは素晴らしかったし現代にまで脈々と続く欧米社会の野蛮な黒人差別やフェミニズムが軸となっているのもジョーダン・ピールらしくて楽しめたのだが肝心の物語がざっくりとした設定や展開の把握でふわっとだけ理解している状態で最後まで見終えてしまったので感想が難しい

またクトゥルフを題材にしている割には怪物の出て来る場面は極めて少なかったのも残念だった
せっかくデザインが素晴らしかっただけにもっと活かして欲しかった

とはいえドラマでこういった難解な世界観をダレる事なく最後まで貫き通しているのは見事だった

細部で言うと主人公アティカスの朝鮮戦争に派兵されていた当時の恋人、ジアについても1話を割いてどういう背景のあるどういう人物なのか、というのは説明されていたもののそれも九尾狐を宿しているが故の迫力ある男性殺害シーンが見所なくらいでいまいちキャラクターとしての必然性を感じられなかったしその彼女の事だけが描かれたエピソードにしても非アジア圏の海外作品あるあるではあるが日本や中国を思わせる部分がかなり多く韓国人役の役者達も明らかに韓国語が拙い点などもどうしても気になってしまった

1つ1つのテーマの描かれ方は良いのだが全10話なのに詰め込み過ぎたという印象がとにかく強い
その上、魔力や怪物などに関しても終始、説明不足な為により難解さを増幅してしまっている感じがする
本来長編で2シーズンくらいは使わないと上手く描きようがない物語なんじゃないか
似た様な難解さのあるドラマ作品として「DARK」があるがあの作品はかなりの長編で且つテーマが難しいというだけで話を追う事が困難な訳でも無かったし何より描きたい物がはっきりしていて詰め込み過ぎてなかった為に傑作として成立していたのだと思う
本作は魔力が最も大きなテーマとなっているが並行世界やタイムスリップ等のSF要素も後半は絡んでくるあたりは特にもっと慎重に描かれるべき部分だった
ああいった都市伝説でもよく扱われる様なSF設定はそれ自体がかなり大きな題材だし学問的な複雑さもあるので「sense8」の様にそれだけを軸にすべき物で後半に急に放り込んで良い物ではないんじゃないかと

ジョーダン・ピールの携わった作品という理由で見始めたが彼の作風が悪い方向に出過ぎた作品だと思う
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