イルーナ

ことりのロビンのイルーナのレビュー・感想・評価

ことりのロビン(2021年製作の映画)
3.2
クリスマス作品ということでこちらも。

『ウォレスとグルミット』や『ひつじのショーン』でおなじみアードマンのストップモーションアニメ。
ただしこちらはいつものクレイではなく、フェルト製の人形。
そのため、さらに温かな雰囲気となっております。確かにこれはクリスマスの雰囲気にピッタリ。まるで絵本みたい。
逆に言えば、いつものアードマンの作風とはだいぶ違います。

ネズミに家族として迎え入れられた小鳥・ロビン。
自身のアイデンティティはネズミですが、鳥の性分で上手く“コソコソ”できない。
ネズミの食料調達方法は人間の家からの盗みだから、これは致命的。
ほとんどの家がブラックリスト入りしている場面から、彼女がトラブルメーカー化している事実が示唆される。
自分が一人前のネズミであると証明しようと一人で盗みに入ると猫に襲われるも、そこで飛べなくなったカササギに出会い、クリスマスの星を取ることを目指すのだった……
カササギは食料のことは一切関心がなく、孤独で物に執着していたのを見ると、やっぱりスクルージをモデルにしてるんでしょうね。

ネズミになり切れない小鳥はどのようにして生き方を選ぶか。
それは、わざと目立つことで囮になるという、短所を長所に変えたもの。
あなたは鳥だけどネズミでもあるよ。絆は確かにそこにあるのだから大丈夫。
カササギも居場所を見つけられてよかったね。盗みに入る時、ロビンと同じようにネズミの耳を作っていたのがキュート。
そんな感じの、ハートウォーミングな小品でした。
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