WadeZenta

ONE PIECE FILM REDのWadeZentaのネタバレレビュー・内容・結末

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

(ワンピース本編との繋がりや考察ポイントも多かったですが、ここはあくまで映画としての感想などに限って書きます。)

最高すぎた。プロットの良さ、腹落ち感、山場の盛り上がり感で言ったら今年一かもしれん。

Adoが歌を、名塚佳織さんが声を当てた「UTA」の存在は、今までのワンピースフィルムにあるあるな、なんとなーくゲスト声優使ってヴィランに蹂躙されてきたか弱き被害者、くらいにしか思っていなかったがとんでもない。

まずAdo様の半端ない歌唱力に全て持っていかれた。正直歌のパートはかなり多いなと思ったが、後半にいくに連れて音楽の持つ意味や理由が強く感じられて全く違和感を感じなかった。
ともすればクソくだらない設定に成り下がりそうなところ、そこは流石の尾田先生。過去回想の掘り下げなどで、めちゃくちゃ魅力的なキャラに仕立て上げられてました。「歌ってみた」で人気になる今の歌手とのリンクはワンピースでそれをやると逆に新鮮で良かったのでは?

そして何がすごいってその歌自体もそうだが、「歌」というキーワードを悪魔の実はもちろん、作品全体の主題や、ワンピース作品全体に共通する大事な部分と結びつけていたこと。
特にエンドロールはマジで絶品。ワンピースファンはもちろん、映画を見た人ならグッとくること間違い無いのでは、と思う。


作品の主題は、いうても海賊って人を困らせる立場の人間だよね、ということを麦わら海賊団も含めて再度議題に挙げたこと。
今まで悪い海賊の話は死ぬほど出てきたが、ルフィたちも含めて「海賊」というシニフィアンを徹底的に糾弾したのはこれが初めてじゃないかと思う。
黄猿とベックマンの戦闘シーンで「海軍が人を傷つけ、海賊がそれを救うか。」的なセリフがあったと思うけど、それが尾田先生の(特にワンピース本編最終章への)主張につながるんだろうな。

ルフィはとにかく「自由」を追い求める。戦うことも、助けることも、ふざけることもとにかく、「自由」。戦わない、という選択肢を取ることもまた自由なのである。

ワンピースっぽさと、ワンピースの中で忘れ去られた視点とが見事に融合した映画で、これから本編が最終章に入る前にこの作品を作ったことの意味を感じた。
WadeZenta

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