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バビロンのWadeZentaのネタバレレビュー・内容・結末

バビロン(2021年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

デイミアン・チャゼルの久々作品

やっぱり印象的な絵を作るのが本当に上手い。
そのまま写真にしたくなるというか。今後もハリウッドの歴史に残り続けるシーンをたくさん生み出し続けるんだろうなという確信めいたものがあった。

そして、ララランドの時も同じこと言ったの覚えているが、空想と現実を繋ぎ合わせるのが本当に上手い。最後の映画見る観客をなめるように映すシーンはハッとさせられた。映画見ている自分を俯瞰的に見てしまうというか。

マーゴットロビーの演技はもう超人じみてた。彼女にしか演じることのできない役が増えてきたというか。ジョニーデップみたいな感じになってきてる。

ブラピももちろん素晴らしかったけど、やはり光っていたのはディエゴ・カルバ、この3人なしでは本当に違う映画になっていたな〜とゾッとする。
あとあのドイツ人の映画監督ね。まさかのスパイク・ジョーンズ。マジで好きだった。


作品自体はやっぱり多少長く、後半は特に冗長的だな〜と思いながら観るシーンが多かったが、ブラピが死んだ時に冗長的なシーンの積み重ねがないと確かにこのシーンは浮かんでこないな、と納得した。でも長かった。

バビロンを観て思い出したのが、「グレートギャッツビー」と「ミッドナイトインパリ」。マニーの眼差し、移ろい行く時代というテーマという意味で強く想起させられた。
出演者名としてマーゴット・ロビーとブラピが全面に出てる感じもギャッツビー感を感じた。

今回は歴史の中の「声なき声」を映画という世界に当てはめて語られた物語だと思った。
文字通り声なき声である主人公たちが最も脚光を浴びたサイレント映画からトーキーへの転換。セリフなんていらないと言わんばかりに、映画前半の印象的なカオスパーティーから始まる数多の音楽。
彼ら自身は歴史の中心にいる(と思っている)と同時にほんの、ほんの一部でしかない、埋もれてしまう小さな声でしかない。微力だけど無力ではないよ、ってなんかの漫画であったシーンだけど、それと同じ。

色々な色が混ざり合い、最後にはカオスな黒になる、という見せ方もとても上手。個人の想いや感情は汚い描き方をするけど、それって意地汚い、まっすぐでピュアな感情ってことなんだろうなと思った。色んな人(色)が混ざり合って、最後は原型をとどめないくらいカオスな黒になるけど、その一つ一つは人のピュアな感情の集まり、それが人生であり、映画の歴史なんだよ、と言っていた気がする。

マニーは大事な人を失いまくって、自分自身も憧れた夢の舞台から降りて、、散々な感じだったけど、
大きなものの一つになりたい。と言っていたんだから、良かったじゃん大きなものの一つになれたよ、とある種その成功を讃えている見方すらできる。


映画の歴史を振り返り、声なき声、小さな声を聞くことを忘れてはいけないと戒められるような感じがした。

あまりにも様々な角度から楽しめる映画故に、掘り下げつづけるとキリがないね。

この映画だって、あの列車が走った瞬間から始まった歴史の一つ。小さな声の一つ。

今後も映画を好きでいようと思います。






〈キーワード〉
・マニーの眼差しの先にあるものは
・精神分析的な観点
・ネリーは何者だったのか
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