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ONE PIECE FILM REDの84gのレビュー・感想・評価

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)
3.4
「ウタが好きになれるかどうかの映画」

 グランドラインで大人気の歌手、ウタのライブを視聴する麦わら一味。
 そのウタはルフィの幼馴染であり、あのシャンクスの娘だという。
 久方ぶりの再開に喜ぶふたりだが、ウタはこう告げる。「海賊やめなよ」と。


 ビッグマム海賊団の面々など、劇場版では出番のなかったキャラクターたちも銀幕デビュー。
 話の都合でブルーノとブリュレが活躍し、狂言回しとしてコビーが活躍。
 この辺りはご都合主義は感じはしたけど、やっぱりワープ系って便利だよね。

 劇場版の尺で全員に見せ場を作る、は放棄したのが良かったように思う。
 ウソップは出番はあるが、あとの麦わらの一味は賑やかしに必殺技を撃って終わる感じでシナリオには絡まない。

 で、全体的にはウタっていうキャラクターを軸に進行する。
 冒頭はウタの紹介、中盤はウタの能力説明、終盤はウタの過去エピ。
 ウタというキャラクターのキャラ立てから着地までを走り切らないといけないので、それに尺の大部分を使っている。
 なので、ウタというキャラクターを好きになれたなら面白いんだと思うんだけど、
 個人的には、あんまりウタというキャラクターが好きじゃない。
 嫌いでもないけど、割とワンピースによくいるキャラだよね、っていう。

 カタルシスの不足は感じる。
 ワンピースではよくあるプロットだし、「シャンクスが元凶」っていうのも、まあ、あるわけないので、そういうことだと分かって話が進む。
 ウタ以外のことをしてないし、後半はまあまあ飽きてた。
 「見せ場がどこか」を視聴者が選ぶんじゃなく、「ウタはこんなキャラです!」って製作者が視聴者に叩きつけ続けるタイプの映画。

 劇場版ではやっぱり、「最強の敵キャラVSルフィ!」っていう定番が見たかったけど、今回はそういうのはナシ。
 ただ、今までに「ロジャーのライバル」とか「海軍の革命者」とか、そういうラスボスチックなやつは出しすぎてたから方向を変えたのかな、とも感じる。

 俺はあんまり楽しめなかったけど、駄作とも思ってない感じ。
 話題作だし、映像もバトルシーンよりもライブシーンに力が入ってて、新しいスタイルを模索しているようにも感じた。
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