keith中村

ミックステープ 伝えられずにいたことのkeith中村のレビュー・感想・評価

5.0
 今日12月8日はジョン・レノンの祥月命日でしたね。
 まあ、日本時間では明日なんだけどさ。
 
 さて、それは本レビューとは何にも関係がないんだけれど、Netflix、年の瀬に来て、またやってくれましたね。
 「愛すべき小品」とは、正にこういう作品のこと。
 
 親の遺したミックステープといえば、GOTGという大傑作がありますし、歌メインではなかったけれど、若き日のスカヨハが出てた「ママの遺したラヴソング」も、タイトルからして本作にも共鳴します。
 
 「失われたアイテムをひとつずつ取り戻す」aka「スタンプラリーもの(←今勝手に造語しました)」という意味では、古典では「舞踏会の手帖」がある。もっと古典だと「八犬伝」。私、「ドラゴン・ボール」はほとんど通過してない人間ですが、あれもそうでしょ?
 音楽ネタでいけば、ロバート・ジョンソンの幻の30曲目を探すという「クロスロード」がありましたね。
 ま、あれは29曲目までは歴史的に(2枚組LPで)コンプされてるんで、30曲目のみに絞り込んでましたが。
 英語で言うと「バケットリスト」って奴だ。「死ぬまでにしたい10のこと」とか、原題はずばり「バケットリスト」だった「最高の人生の見つけ方」とか。
 私もやってますよ。
「死ぬまでに見たい映画1001本」を死ぬまでにコンプしようとしてるもの。
(あの本、改訂のたびに差し替えあるから1001本どころか、すでに1300本に迫ってるんだよな〜。追いつけないや😅)
 
 本作は、タイトルの「ミックステープ」の曲目一覧にも言及したいんだけれど、それはフィルマでいえばレビュアーの「たけちゃん」さんあたりが本作をご覧になれば(まだレビューされてませんでした)、私なんかより詳細にたっぷり論じてくださるはずなので、そちらに期待してます。たけちゃんさん、よろしくです!
 
 ただ、何をおいても「リンダ・リンダ」だけは言及しておきます。やっぱね。日本人としてはね。
 この、唐突な日本の観客への目配せは、びっくりしたし、相当嬉しかったですよね。
 ベブちゃん、最初は怪訝そうな顔してるんだけど、サビからノリノリになっちゃう。
 それどころか、"Do bu nay zu me, me tie nee. Utsu koo shiku nah nee tie eee"と、意味も解らない日本語を書き起こしちゃう。「ナーニータイー」は一文字だけ惜しいんだけど、全然知らない異国語をここまで正確に聴き取っちゃうベブちゃんの耳は相当いいですよ。
 
 おれも、ベブちゃんとほぼ同じ年齢のとき(41年前の今日。日本の報道は明日の夕方でしたね)にジョンが殺されて、しばらくしてFMラジオで追悼的にビートルズが流れまくった。そんで、聴きまくった。エアチェックしまくった。英和辞典と首っ引きで、繰り返して聴きながらページをめくっては、歌詞を書き起こした。(←ベブちゃんはもちろん和英辞典なんか持ってないよね)
 あの頃の俺、ここまで聴き取れてなかったよ! まあ、英語の方が音素が多いんで、我々には不利なんだけどさ。
 あと、ベブちゃんに利があるのは、甲本さんの発音がめっちゃ明瞭なのもあるのかな。
 歌詞の聴き取りも難しかったけど、日本人アナウンサーの曲目紹介すらやはり難しかった。
 当時は、EMI公式盤だけじゃなく、シルバー・ビートルズの曲もNHK-FMは流してたんだけど、たとえばカール・パーキンスのカバー曲(ってことも、当時は当然知らなかったけど)「Lend Me Your Comb」が、カタカナで「レンド・ミー・ユア・コム」って紹介されるじゃないですか。辞書を頼って、"Lend Me Your"までは綴れるのね。でも、「コム」がわからない。"Comb"なんて綴りだとは想像できないんですよ。
 だから、「ちょっと発音が違うけど、多分"Come"なんだろうな」なんて、小6・中1あたりの浅知恵で解釈してた。でも、文法的には意味わからんし。(←ある意味、邪馬台国論争の「陸行水行」みたいなことをやってた訳ですわ)
(せっかくの12月8日なんで、結構脱線したけれど、もう止めます。もうちょっと詳しくはこないだの「ザ・ビートルズ:Get Back」のレビューに書きましたです)
 
 本作の「セットリスト」(じゃないか。「曲目」でいいのか)を一時停止してつぶさに見ると、音楽に詳しい人なら、「ラストに控える仕掛け」は予想できます。私も予想できた。予想してても感動して泣いちゃうんだけどね。

 そのリストの2曲目、「リンダ・リンダ」は私が大学に入った1987年のヒット曲。
 本作の舞台は2000年問題を間近に控える1999年の年末。
 点検してみると、ベブちゃんの年齢とは妊娠期間があるので1年くらい嘘というか「ずれ」はあるんだけれど、そんな細かいことには眼をつぶりましょう!
 あと、ブルー・ハーツは当時リアルタイムにアメリカに輸出されてたんでしょうか?
 1988年にアメリカにバックパッカー旅行してた先輩が帰ってきて、「NYのレコード店に、日本のLPは"ラウドネス"だけは売ってた」って言ってたけど。まあ、いいや。これも些末なこと。
 もうちょっと後の「TRAIN TRAIN」ツアーの時は、中之島のフェスティバル・ホールにブルー・ハーツ観に行ったっけ。
 
 現代じゃなく、2000年問題を背景に据えたのもナイスでした。
 その頃は私は当然すでにサラリーマンだったけど、サーバー管理やってたんで、1999年12月31日は会社に泊まり込んでたわ。
 結局何も起こんなかったんだけどね。
 そうなんですよ!
 そんな既定路線の未来なんかはなくって、「未来は僕らの手の中」なんだよ!ってところで、本作はあっさり終わるでしょ? そこも凄く大好き。
 
 オルガ・ペツァさん(って発音でいいのかな?)演じるニッキーが親友になる展開もよかった。
 チャイニーズのエレンちゃんと3ピース・バンドやるんだよね。3ピース、やっぱいいよね~!!
 あと、ベブちゃんがアンタイさんにギター交代してもらって、アンタイさんがマシンヘッドでシンバルを叩くところとかも、最高。あれ、ライブでやると、相当気持ちいいんだ!
 
 オルガさん演じるニッキーちゃん、私の親友で同僚のIちゃんにそっくりなんだよ~!。ちょっと見ててびっくりしたレベルで似てた。
 まあ、私の同僚は、私と同じ53歳の「お姉さま」なんだけれど、笑った表情がマジ激似!
 その親友のIちゃんとは、再来週とあるライブ・バーの「アマチュア・ナイト」で一緒に"When I'm Sixty-Four"を演奏する予定なんです。(←結局ビートルズ話に戻ってきちゃったよ!)
 Iちゃんと私はもとは大阪で夜な夜な飲み歩いた呑み仲間だったけど、今は「遠距離恋愛」ならぬ「遠距離親友」。彼女が大阪で、私は東京。
 先々週はIちゃんが新国立劇場のマイスタージンガー観るために東京に来てたんでその前日土曜日、夕方から3am in the morning まで8時間くらい呑み続けた。
 んでもって、再来週は私が逆にギターケース引っ提げて大阪にいって演奏するわけです。
 ポールが「私が64歳になっても」を書いたのは、20代だったけど、我々は僅か11年後に64歳になっちゃう!
 どうする、俺たち?!
 2000年問題よりも切実だよ!