Kachi

シティ・オブ・ジョイ 4Kデジタル・リマスター版のKachiのレビュー・感想・評価

4.2
【カオスなインドのスラムを見つめる】

エモいパンフレットに惹かれて思わず劇場へ。ヒューマントラスト渋谷でのみ上映中。

豊かな暮らしを求めてカルカッタに出てくるインド人一家と、手術に失敗して傷心したアメリカ人医師がCity of Joy(歓喜の町)と呼ばれるスラムで出逢い定着していくまでの物語。

キーとなる言葉が物語を前進させていく。
「人生には3つの選択がある。逃げるか、静観するか、関わるか」。
この言葉は初めはアメリカ人医師Maxに向けて発せられる。だが、この言葉の意味を咀嚼した彼自身がインドで出会ったハザリ達と深く関わる覚悟を決め、スラムの搾取構造から立ち上がるよう鼓舞するまでの流れは、よくある展開ではあるがスラムのカオスさが相俟って不思議と説得力があった。

この作品で描かれている労働者はいわゆるアングラ(Underground)のインフォーマルセクターで働く者たちである。今のインドがここまでカオスであるかはさておき、アフリカや東南アジアの一部では依然としてこのような状況が続いているのであろうと思うと、記録としての価値が高い作品だと感じた。
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