VORTEX ヴォルテックスのけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

『ヴォルテックス』鑑賞。心臓病の夫と認知症の妻という老夫婦の終末を捉えた作品。『愛、アムール』が老夫婦の最期にある深い愛情を捉えたとするなら、本作は生々しく引き裂かれる二人の姿を描いている。冒頭空から二人の元へと降下してくるカメラワーク、ラストも二人の死後、居住地を淡々と写した後に空へと登っていく、まるで空から生を受けてまた空へ帰っていったかのように。物語はとにかくジワジワとゆっくり進行し、徐々に崩壊していく老夫婦と息子の関係性を見るだけで、特に大きな展開もなく個人的には退屈に感じてしまった。各々を捉えスプリットされたスクリーンはどれだけ分かち合っていたとしても夫婦は所詮他人同士という現実をまざまざと表現する。個人的には妻が認知症で夫と息子で支えていこう的な全体の流れの中に、急遽同時にぶち込まれる男性陣のダメな側面(夫は別の女性に言い寄り、息子はドラッグの売人をやっている)が実に皮肉めいているように感じた。評価されているのも理解はできるけど、個人的には退屈な作品。