けまろう

M3GAN/ミーガンのけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

『ミーガン』鑑賞。玩具ホラーと聞けば『チャイルド・プレイ』のチャッキーがまず頭に思い浮かぶが、ミーガンは新手の高性能チャッキー。今回は呪いではなくAIの暴走という体を取るが、逆に人間に寄り添っている分不気味だ。能面で人間じみた動きをするミーガンの歪な姿は完全に不気味の谷の再現で、作品の不穏性に何役も買っている。ミーガンの動きを演じたエイミー・ドナルドの人間離れした動きに拍手。この歪な不気味さは『エスター』シリーズにも通じるものがあるな。
交通事故で両親を失ったケイディを引き取った叔母のジェマ。ワーカーホリックでまだまだ恋活中の独身女性、AIスピーカーも使いこなし、デックギークの側面も垣間見せる。母性なんて湧くわけもなく、なるべく一人で時間を潰して欲しいと思ってしまうソフトなネグレクター。子育てを玩具頼ろうとするがうまくいかず、代わりに開発中のアンドロイドミーガンがケイディの心の支えに。テクノロジーによる子育ての代替はまさき現在YouTubeで子どもを静かにさせる若い親たちに当てはまる行動だろう。テクノロジーに子育てを任せ、自分は生産的な活動を、というのはグローバルなトレンドなのか。そこに警鐘を鳴らしたかったのか、徐々に異常性を見せ始めるケイディ、ミーガンに洗脳されているように映るほど依存し、叔母に暴力を振るうなど集団生活を通じた社会性が育っていないことが判明する。(ケイディは学校に行かずホームスクールだったこともあり)そこから真剣に姪の子育てを考え始めるジェマ。不可解な事件も手伝い、ミーガンが教育に悪影響だと判断すると検査を断行。それを察したミーガンは研究所を脱走し守るべき対象、ケイディの元へ。こう書いてると最初の保護対象であるケイディに献身しているミーガンも健気ではある。最終的にはジェマが学生時代に作った試作品によってミーガンは破壊されるが、実はAIスピーカーに乗り移っていることを示唆する形で物語は終わる。
面白かったしちゃんと技術では育たない人間性/社会性というメッセージも感じられた。満足。
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