Ayax

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのAyaxのレビュー・感想・評価

4.1
〈2023/3/9追記〉
※最後の一文だけ、ラストにやや言及してるので、何も知りたくない方はご注意。

実は昨年の7月に東南アジアを3週間くらい周遊していたときにシンガポールで鑑賞済み。本国では2022年3月に公開されて大ヒット。その後、各国で公開されて大変話題になっていたのに、日本ではなぜかずっと公開日未定の状態で、日本の映画ファンはなぜ来ないんだ?とやきもきしていた。結局、アカデミー賞獲る可能性が出てきて、日本ではそれに合わせて公開されることになり今に至る(何気に確定申告シーズンにも合ってる!)。そんなわけで、去年何とかして旅行のついでにどこかで観たかったわけだけど、東南アジアでも上映が終わりつつあり、運良く最後の目的地のシンガポールで鑑賞できた。ただ、当たり前だけど、字幕は付いてない。MARVELチックなアクション映画なら台詞分からなくても大丈夫かと思ったんだけど、実際観てみるとかなりカオスだし、家族(愛)の話っぽくて、「え?難しくない??」ってなった。アクションは面白いし、登場人物も好きだったけど(特に娘が好き!)字幕ないとこれはちゃんと理解するの厳しいなと思った。観られて良かったけど消化は不良。
というわけで待望の日本語字幕版を鑑賞。
字幕付きで観た感想は、あーこりゃ字幕なしじゃ私には難しかったなあ、だった。バースのジャンプのルールが特に難しくて全然わかってなかった。そういうことか。というか日本語で観たとて意味わからんとこ多々あるし、それを無視してエンジン全開でぶっ飛ばしてる感じの作品。
冴えないコインランドリーのおばさんがマルチバースを行き来して、宇宙を救う話。
もしあの時あのチョイスをしなければ、カンフー女優として大成功してたかもしれない、歌手になってたかも、シェフだったかも、ピザ屋のプラカード持ちだったかも、手の指がソーセージだったかも(は?)、ピニャータだったり(何それ)、はたまた石だった可能性も(どういうこと??)。
内容はとんでもなくシュールで、カオスで、なんじゃこりゃという展開の連続ながら、王道の家族愛の話でもあるから誰でも共感できてしまうという離れ業を決めている。特に母娘の関係(思春期の娘との衝突)にフォーカスしてるので、女性は共感しやすいかと思う。
ミシェル・ヨーの演技が素晴らしいのはいわずもがな。マルチバースのいろんな主人公を演じたことについて「今までの40年のキャリアは、この役のためのリハーサルだったように思う」とコメントしていてかっこよくてちびった。爆イケだ。アカデミー賞についてはケイト・ブランシェット様がリードしてたけど、直近の最重要な賞をミシェル・ヨーが獲ったのでその勢いでいってほしい気持ち。
スピルバーグ作品で子役で人気を博したキー・ホイ・クァンも復活。現在、賞レースを総ナメ中で、アカデミー賞の最有力候補(ぶっちぎりのトップランナー)。
そして、1回目も2回目も私が大好きなのは、娘を演じたステファニー・スー。演技や雰囲気や佇まいも好きなんだけど、衣装がどれも最高にかわいい。アディダス×ジェレミー・スコットのクマが肩に付いてる衣装が一番好き。悪い子の顔と良い子の顔を上手に演じ分けて、不細工に見えるシーンもあればかわいく見えるシーンもあって、個性的な衣装を着こなして素晴らしかった。彼女もノミネートされてるけど今回はないと思う。
ハリウッドの一流の映画と比べると低予算(35億円くらい)なので、安く見えるシーンもあるっちゃあるけど、無茶苦茶なことを散々やらかしてるのでもはや気にならないというか、それすらチャーミングだと思わせる勢いと強さがある。ちなみに製作費については、邦画だと大作の部類でもおそらく15億円くらい。ハリウッドだと大作は200億円くらい。どひゃー。興行収入が製作費の3倍稼げれば大体成功らしい。
私はジャッキー・チェンが好きなこともあり、アクション面でもかなりその影響を受けた雰囲気があって好き。アクションコーディネーターの方、知らない方だったけど、すごいと思う。随所で挟まれるギャグも本当にしょうもなくてくだらない(褒めてる)。
情報量が多くて何見せられてんのかなと圧倒されると思うけど、あまり深く考えず、ジェットコースターに乗ってるような気分で楽しんだら良いと思う。
今年観た映画の中ではぶっちぎり1位!

〈以下、ラストについて少し言及〉
いろんなバースに私がいて、みんな私より成功してる(自分はその中で一番失敗してる自分)けども、それでも私は私がいい、この家族と一緒がいいっていう。何だよ、いい話かよ。

〈2022/8/2記〉
シンガポール旅行中に鑑賞できた。
アクション映画っぽいから台詞がわからなくても何とかなるかなと思ってたら、確かにアクションシーンは面白くて良かったんだけど、ストーリー的に台詞が結構繊細な感じなのでは?と思われ、やはり日本語字幕付きでちゃんと観たい。
ミシェル・ヨーが素晴らしいのはもちろん、あの娘役の子の雰囲気(佇まい)も衣装もたまらなく魅力的。
なので日本で公開して、お願いよ。
A24だし、来るって信じてる。
日本語字幕付きで観られたらまた感想を書き直す。
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