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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのBaadのレビュー・感想・評価

3.8
テーブルの上にレシートを並べて「話しかけないで」と言っているミッシェル・ヨーを見て、うわっ、これ超繁忙期の私じゃん、と思った。

税金の申告とパーティーと誕生日を同時にしなければいけないってだけで、頭の中が爆発しているエヴリン。別にマルチバースからの侵入者がいなくても、エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(全てがいっときに押しかけている)だ。
しかも娘は遅い反抗期でなんだかうまくコミュニュケーションが取れない。
車椅子で食事の世話もしなきゃいけない父親は超頑固。唯一優しい夫だけが味方だが、なぜかオロオロ(あれだけ怒ってたら誰でもオロオロするが)している・・・

マルチバースものはMCUで数作みたのだが、これはそれのお手軽版?ユニバースが変わっても属性があんまり変わらずに同じ場所に違うユニバースの同一人物が二人存在することはなく、同じ人の中で性格が切り替わる。ついでに能力も拝借できる。
(こっちの方が本来の理論に近いようなことチラホラレビューで読むのですが、そもそも物語を組み立てるためにお約束としてしかみていないのでこういう書き方になります。)

ユニバース間をジャンプするためにおかしなことをしなければいけなかったりしてB級感が半端ないんですが、ミッシェル・ヨーさんとその家族を演じる役者さんと税務署の担当者のジェイミー・リー・カーチスさんの演技が素晴らしかったので救われていた感じです。

全体的に演出にコレジャナイ感を時折感じたのですが、ファッションとかプロダクトデザインは素晴らしかったかな。特にジョイのメイクとかファンションはとても良かった。

あと、おそれを克服するこためには優しさが大事、という視点とか、アジア系の家族主義がしっかりしている家庭の子供にかかる重圧を逸らさずにちゃんと描いているのはとってもいいと思った。

アイデア勝負でそれ以外のところは割と普通ですが、最後まで楽しくみられました。でも、結構期待してた割にオチは安易、と思ったのでこのスコアです。

『RRR』でも感じましたが、中華系とかインド系のキャストの人たちはコメディーでも体の鍛え方が違うので脚本多少ゆるくてもきちんと映画になってしまうのが素晴らしい。特に足腰の強さは大事。
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