きゅうげん

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのきゅうげんのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

シュール&ナンセンス×カンフー+“家族愛”!
心の底から笑って泣ける大大大大大傑作です。
今年ベスト級どころか人生ベスト級かも!

「別宇宙の自分の能力を体得できる」というシステムゆえ、何かを成し得た他の世界と最低最悪だと思ってる現状との間で揺れ動く自己実現の葛藤を描く前半と、「太り過ぎ」とか「タトゥー彫った」とか些細なことなんて問題にしない“親切になれる”親子関係の成長を描く後半。どちらもストレートで普遍的なファミリードラマが美しいです。
「理想の娘がいる別の世界に行けばいいじゃん!」とぶちまけるジョイに対して、エブリンが「どんなところでもほんのわずかでも、今ここで一緒にいたい」というクライマックスは、もうボロボロ泣きでした。

またマルチバースであることを、時に70‘sカンフー映画みたいに、時にウォン・カーウァイみたいに、時にアンリ=ジョルジュ・クルーゾーみたいに、時に子供のお絵描きみたいに、映像的に表現する試みは、映画だからこその強みを活かす意欲的な姿勢ですね。
そしてダグラス・アダムスやモンティ・パイソンもかくやという、ほんとうに馬鹿馬鹿しくて不条理なギャグの数々。バース・ジャンプするための突飛の行動がどれもマジでくだらなくて抱腹絶倒です。とくに、“独特な造形”をしているトロフィーの案の定な使い方……。

ドラマもアクションもコメディも、どれもすべてカオスで最高におもしろすぎる映画です。
映画館が一体となって笑ったり泣いたりしたの久しぶり!
しいて言うなら、しばらくベーグルを直視できないのが数少ない難点。チーズも牛乳もないとなると朝飯抜きかも。

てかエンドクレジットの最後に「ホットドッグ・ハンズ合同会社」って社名が見えたんですけど、調べてみたらA24系列で実在する会社でした。
この映画のために設立したギャグ会社……ってコト!?