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テオレマ 4Kスキャン版のSPNminacoのレビュー・感想・評価

テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)
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ブルジョワ階級の解体、シンプルにカトリック的な罪と救済の話だったような。ブルジョワ一家に現れたストレンジャーは、家族とメイドに秘蹟を与え、一人一人の告解を聞き届けて姿を消す。その後それぞれは奇跡を起こして聖人となったり、芸術の権威を破壊したり(部屋にあったポップアートやアクション・ペインティング…時代だなあ)、身体や持てるものを手放してみたり。鐘の音、合唱、古びた教会。テレンス・スタンプが庭でくつろぐ宗教画のような写真。
他人の罪を背負って涙を流しながら埋葬され、或いは救済を求めて彷徨い、不毛の地で許しを乞う。でも「彼」を思わせる姿の青年は街のあちこちにいて、その哀れな孤独を見つめるだけ。
当時の街の景色もすごくシンプルで、都会も郊外も砂地と同じように殺伐と、殺風景なのが印象的。意外なほど画面の情報量が少なかったし、顔だけで充分。その中でテレンス・スタンプの青い瞳がくっきり際立つ。あと白パンツ…男性表象がフェティッシュだけど、キリストの腰布なのかな。
アンヌ・ヴィアゼムスキーのタタタッと軽い駈け足も印象的。彼女は無を握りしめていたのか。瞬きしないの辛いだろうな…
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