きゅうげん

テオレマ 4Kスキャン版のきゅうげんのレビュー・感想・評価

テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)
4.0
謎の闖入者がもたらした崩壊を描く、パゾリーニ監督の寓話的作品。
上目遣いの碧眼が印象的なテレンス・スタンプと交わったブルジョワ階級の四人家族とお手伝いさんは、それぞれメランコリアで寝たきりになったり若者と寝たり前衛芸術に目覚めたり、聖人になったり発狂したり。
つまるところ、インスピレーションや天啓など、神あるいは天使のような存在に出会ってしまった人間たちを描いていると言えるでしょう。

また「テオレマ」、すなわち定理という意味のタイトル。
これは具体的なセリフから全体的なシークエンス、動きのある場面でのハンディカム・静止画的なステディカムの撮影、パステルだったりセピアだったりする淡白な色彩設計、それから演技のトーンなど、画一的かつ無機質な映画理論というか映像文法というか、そういった試行を象徴する名前に思えます。


なんか知らない人が普通に家にいる……、って『うろんな客』を思い出しますね。