さうすぽー

すずめの戸締まりのさうすぽーのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.8
自己満足点 75点

「君の名は。」や「天気の子」の新海誠監督、最新作。
日本の災害に真っ正面から向き合った内容でした。
正直今作も賛否はあると思います。特に終盤のとある描写には本当に真っ二つに分かれる気がします。

今回も登場人物は女と男が出会う話ですが、今回は主人公は男の子ではなく女の子。そして、男は年上になっています。


まず劇中に猫が登場しますが、ダイジンという可愛さと怖さの二面性を抱えたキャラクターでした。このキャラクターはとても無邪気だし純粋です。しかし、このキャラクターが本当に怖かった!
人間の子供もそうですが、その無邪気さが逆に狂気を感じたり怖さを感じるのだと再確認させられて面白かったですね。

映像は今作も綺麗でしたが、今回驚かされたのが、猫(ダイジン)を追いかける場面やアクションシーンの臨場感が凄まじいものになっていました!(どれだけ作画枚数を費やしたんだろう)

声優も良かったです。主人公のすずめ役の子も良かったし、草太を演じたSixTONESの松村北斗には上手さに驚かされました!あと個人的にスナックのママを演じた伊藤沙莉もハマり役で面白かったです。

音楽も良い意味でRADWIMPS感が無くて新鮮でしたし、劇中のちょっとしたジブリのオマージュも面白かったです。


さて、今作が何故賛否分かれるのか。
それは震災を明確に描いてるからに他なりません。
劇中に流れる地震速報や迫り来る危機等は正直本当に怖かったです。(公式も言ってますが、地震にトラウマを抱えてる人は要注意です。)
人によっては「直接描いてほしくなかった」とか「逆に安直だ!」いう声も少なくないです。
ですが、日本に住んでる以上常に地震に向き合わなければならないし、"災い"を描く以上地震を描かないと嘘になります。
正直、「よくぞこれを逃げずに描いてくれた!」と感服しました。

それを直接描いたからこそ、終盤に描かれるメッセージは非常に感動させられたし、思わず自分も涙してしまいました。


と、ここまで絶賛してきましたが正直今作には残念な点もあります。

まず、前半のストーリー展開について。
すずめが宮崎から四国に行くことになる下りがあり、子供の椅子に変えられた草太が猫のダイジンを追ってたらフェリーに着いてしまったという流れ。
チケット代はどうしたのでしょうか?
劇中で見廻り警備に見付かる下りも無いし、だいぶおかしな展開でした。

それにすずめの金銭事情についても、高校生なのに社会人並みのお金の余裕ぷりに違和感を覚えました。

あとダイジンという名前ですが、劇中でダイジンを名乗る猫がTwitterで写真に上げられてる所で既に「#ダイジン」というハッシュタグが付いてます。
誰がどうやって名前を知ったのでしょう?
すずめと草太以外の人物とは殆ど喋ってる場面がないだけに結構違和感ありました。


こういった突っ込みどころもあって前半は正直「大丈夫か?」と思ってしまいましたが、前述の通りメッセージ性等に感動したので後半の内容やストーリー展開でかなり巻き返した気がします。

前作同様賛否分かれる内容ですが、自分は今作も好きな内容でした。