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生きる LIVINGのmiiのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
4.1
ビル・ナイ御歳73歳。
役柄のせいか細く力のない喋り声ではあったけれども
彼が演じるからこその深みと重みがある作品でした。
バーで故郷の歌「ナナカマドの木」を歌った時なんか
じんわりと響いてきたわ。

大勢の英国紳士·淑女たちが 汽車に乗り職場に行く。
1日を卒なく平穏にこなして 帰宅の途に着く。
それの繰り返し。

これを観て はっとさせられる方もいらっしゃるだろうな。

淡々とした毎日を過ごし ある日余命半年の命と告げられるウィリアムズ。
あと半年の命···
しかし彼は あと半年の命をどう過ごせば?どう楽しめば?が分からない。

今まで自分が多くの日々費やしてきた仕事とは 一体何だったのか!?
席に座ったっきり動かずに
他部署からきた案件を他にまわし
定時の時間が来るのを待つだけの 情熱を失った毎日であった事に気付いたウィリアムズ。

最後の最後に
ひと仕事を成し遂げて 一花咲かせた彼。
彼が生きた証と彼の背中を同僚に残せたのだから
幸せな気持ちでブランコを漕いでいたのですよね。
いや···残した事よりも
彼は心の充足感で満たされていたのでしょう。

毎日の仕事の姿勢について 考えさせられます。

「生きる」
思い立った時からでも 決して遅くはないのだわ。
流されて生きるのでなく 意欲を持って日々を過ごすという事が。

この夜 黒澤明監督の「生きる」も鑑賞しましたが
カズオ・イシグロの手腕による
102分にうまく削ぎ落とした 完璧なるリメイク作品だと思う。
わたしの性分もあるかな···こちらのが好きです。
特にラストに向けてのシンプルさが。
mii

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