映画の感想が「演技がすごい」となるのは、あまりいいことじゃないと思ってる。
寅さんは「渥美清の演技がすごい」とは言われない。あくまで寅さんは寅さんだ。
ウディ・アレンはすごいかどうかではなく、常にウディ・アレンというキャラクターだ。
役所広司の演技をただ観ているような印象だった。役所広司すぎて他が霞んで見える。
街も、森も、日本家屋も、他の登場人物も役所広司という「主」を立たせるための「従」のように感じた。
「ある男が死ぬために彷徨う」というなんでもありの設定なら、男の周囲の「それぞれ」をもっと味わさせてほしい。
主従関係は常に入れ替わるし、曖昧なものなのだから。
永山瑛太ご本人主演の作品を観てみたいな。どのように変わるのだろう。
wowowの「アクターズ・ショート・フィルム2」という企画の中の一作。
5人の俳優が監督としてショートフィルムを撮る、というプロジェクトです。