最高すぎるフェイクロードムービー。
彼らはなぜ、取っ組み合いのケンカをするのか?ただ触れ合うのではダメなのか?
本質的な人間関係が、そこにはある。
ぼくらは一緒に話したいと願う時、きまって食事に誘う。話すための口を、食べるために塞いでは不便なのにも関わらず。
人間関係には「口実」が必要なのだ。
直接的に求めることができない。
人は不便な生き物なのである。
しかし、映画はとかく直接的な表現を好む。
伝わりやすくするためには、都合の良い正直さが必要だからだ。
でも観客が本当に心打たれるのは、画面に映っていない、ひた隠しにされた感情なのだと思う。
この映画はフェイクロードムービーだ。
その「フェイクの中」にあるものこそが、真実なのだと感じた。
『オーファンズブルース』で、卒業制作とは思えないクオリティを見せつけた工藤監督の商業映画初監督作品。
日本にまた楽しみな才能が誕生した。
ぜひ、多くの人に観てほしい。