ベビーパウダー山崎

TAR/ターのベビーパウダー山崎のネタバレレビュー・内容・結末

TAR/ター(2022年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

まあ普通なら「メチャクチャな持論ふっかけて教室から追い出した(出ていった)生徒が成功したのを落ちぶれた私が客席から見て終わる」みたいな流れになりそうだが、その方向にはあえて進まず、嫌がらせのようなオチで締めていて、とても現代的というか、大きく捉えればハネケとかリューベン・オストルンドと同じ枠組みの映画。長回しに個人的なキャメラ、アメリカ映画がカンヌ、ベネチアあたりで残りそうなヨーロッパ映画に擦り寄っている。
キャラクターに色をつけすぎて全員が風刺画みたいな言動しとる。まず役者ありきなのはよく分かるが、展開はベタベタなのに演出が思わせぶりで気取っているから何も響いてこない。人物を狂わせていく道筋に驚きがないのが一番問題。幽霊と幻聴も物語のクッション程度にしか扱っていないから映画が太らない、こういった狂人への前兆こそ丁寧に工夫して撮るべき。
ケイト・ブランシェットのキチガイ芝居は微妙。キチガイになりましたという主張が強すぎるが、これは作り手の責任。変なヅラつけたマーク・ストロングにタックルかます暴力だけ面白かったけど。ブランシェットの夢のくだりはベルイマンとアピチャッポン。おそらく作品全体の狙いはベルイマン的な狂気(恐怖)。
ゲーム音楽をありがたがって聞く大衆(アジア人)なんて知能が三歳ぐらいの下の下なんだから、先進国から追放された白人の罰ゲームぐらいで丁度いいだろと、トッド・フィールドは最悪ですね。現代を舞台に大竹しのぶの『リア王』を大根仁が撮ったらこんな感じだと思う。