Sachika

神々の山嶺のSachikaのレビュー・感想・評価

神々の山嶺(2021年製作の映画)
3.8
登山家マロリーのカメラを追い求めるうちに、交差していく 山に取り憑かれた者と、その男に魅入られた者の思い。
ポスターが「究極の冒険ミステリー」を謳っていたから、ミステリー要素?と思っていたけど、マロリーのカメラはきっかけに過ぎず、マロリーのカメラを持っていた羽生を追いかけるうちに、深町が「人は何故山に登るのか」の意味にたどり着く、人間ドラマという感じ。

苦しいのに、危険なのに、なんで雪山になんて登るんだろう、と思っていたけど、彼らの山頂を目指す姿を見つめるうちに、その理由にこちらまで少し近づけた気がする。
それほどに、実写かと錯覚するくらいに、感情がすっと入ってくる。
また同時に、雪山の冷酷さや 死への恐怖が、アニメーションだからこそ伝わりやすい部分もあり、アニメーションの利点を生かしつつ、実写にも引けを取らないという、そのクオリティに脱帽。

ストーリーも絵も、差し引くところの匙加減が絶妙で、雪山のシーンは雪崩や吹雪が起きるたびに、本物のような臨場感を感じた。
これは本当に劇場案件。
あと日本公開版のみ吹き替え、しかも製作側から直々に声優を指名してきたらしく、「 ま じ で わ か っ て る な 」と大きい声で言いたい。
他にも街の様子・人物の描写、日本でのシーンが今まで観た「外国が描く日本」の中で、最も細かく本物だった所も日本人としては嬉しい。
逆に何もない真っ白な雪山が、ものすごく壮大に見えたなあ
他には深町視点から羽生の場面に移る際に、聴いてる音楽やテレビ、本など、何かを介して場面転換するモーション?がいいなって思った。
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