Nana

ケイコ 目を澄ませてのNanaのレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
3.4
聴覚障害の女性ボクサーを淡々と描いた静かな作品でした。ヒロインは全くセリフが無いんだけど、笑ったり、睨んだり、イライラしたり、泣いたり、表情がくるくる変わる。ボクサーらしい動きもかっこよかった。
「痛いのは苦手」って言えるケイコ、普段はほとんど声出さないのに試合の時は獣みたいに吠えるケイコ、毎日ロードワークをかかさないケイコが愛おしくなる。
浅草女子会は何話してたんだろ?

ジムの会長が三浦友和で奥さんがお久しぶりの仙道敦子で、ちょっときれい過ぎるんだけど、下町の古いジムもトレーナーも温かくて、いい感じ。
愚痴を言わないケイコを思いやる弟も優しい。彼女もいい子。
悪い人が出てこないのが、ちょっと物足りなかったかな。

会長が体調を崩し、ジムが閉鎖になるくらいで、これといったエピソードも無いんだけど、そんなケイコや周りの人を静かに優しく見守る監督の視線と、ミット打ちの音、川原の風の余韻が残る作品でした。
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