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この子は邪悪のRのネタバレレビュー・内容・結末

この子は邪悪(2022年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

自宅で友人1人と。

2022年の日本の作品。

監督は「流星と少女」の片岡翔。

あらすじ

かつて一家で交通事故に遭い、自分以外の家族は重傷を負い、自身も心に傷を負った少女、窪花(南沙良「恋と知った日」)。心理療法室を営む父、司郎(玉木宏「ゴールデンカムイ」)のもと静かに暮らしていた花だったが、ある日、司郎が5年ぶりに植物状態から奇跡的に回復を遂げた母、繭子(桜井ユキ「君は放課後インソムニア」)を連れて家に帰ってくる。久々の家族団欒に喜ぶ窪家だったが、唯一、花だけは「あの人はお母さんじゃない」と母の存在に違和感を覚えるのだが…。

公開当時から、ずっと気になっていたものの予告を観た時に出てきた「あるシーン」で怖っ!となって俺自身ホラー苦手なもんだからずっと逡巡していて、この度、ようやくいつもの友だちと見ようとなって意を決して鑑賞しました!!


結論から言うと、所々ツッコミどころはあるものの終盤の「えぇー!!」という「どんでん返し」要素の不気味さもあってなかなか楽しめました。

お話はあらすじの通り、ホラー?サスペンス?ミステリー?ジャンルミックス的な内容となっているんだけど、まず冒頭から不穏…。

主人公、花とは別に出てくるもう1人の主人公で元ジャニーズの「なにわ男子」でまぁー超絶美男子の大西流星(「わたしの幸せな結婚」)演じる四井純という青年が何やら近隣でなぜか「続出している」精神疾患を患う人たちをカメラで撮影しているシーンから始まるんだけど、ある人は四つん這いになってどこともなく動いてたり、手をわしゃわしゃっとした仕草を繰り返したり、一点をじぃーと見つめたまま放心していたり、1番インパクトある人だと一日中ベランダの欄干から虚空を見つめて、そこに這う芋虫をパクッ!と食べてむしゃむしゃしたりと明らかにおかしい人々が純君の視点によって次々と映されていく。

で、しかも、まぁこの映画独特なのがそのおかしな人々が共通して白目が充血したかのように「真っ赤」であるという点。もうここからして不穏だし、ホラー。

で、そんな純君の場面から舞台は件の家族、「窪家」に話が移るわけで。

この窪家家族仲も良い、幸せな家族だったわけなんだけど、ある日一家で交通事故に遭っちゃって、父親の司郎は足に障害が残り、次女の月(渡辺さくら)は顔に大火傷を負って「犬神家の一族」のスケキヨみたいな真っ白な仮面をつける生活を余儀なくされて、お母さんの繭子は事故からずっと植物人間状態、で唯一軽傷で済んだ長女の花は自分だけ助かったことに負い目を感じで心に傷を負ってしまっていると。

で、そんな家族なんだけど、演じているのが司郎に近年再ブレイクしている気がする玉木宏だったり、繭子役がまぁめちゃくちゃ美人(かつそこはかとなくエロス)な桜井ユキだったりと仮面をつけてる月ちゃんはわからないけど、純君演じる大西流星含めて出てくる主要人物の顔面偏差値がものすごく高め笑。だからこそ、家族に起こった悲劇性もどことなく高まっているように感じる。

その中でもやはり注目すべきは花を演じた、南沙良。「ドラゴン桜」の続編に出ていたこともあって、どっかで「二代目ガッキー」なんて呼ばれてて、それに関しては顔の系統も違うし、「ん?」となっていたんだけど、改めて演技してる彼女を初めて観るとやっぱものすごく美人。ただ全盛期のガッキーとは異なり、どことなく「隠の者感」というか幸薄めな感じもあって、それが本作のジメッとした雰囲気に合ってたなぁ。

で、そんな彼女と実は幼なじみだった純君が知り合う中で、植物状態から「奇跡的に」復活を遂げたお母さん繭子が「実は本当のお母さんじゃないんじゃないか…」ということになって2人で秘密を探っていくんだけど、序盤は事故の怪我で整形手術をしたらしく顔立ちが全く昔とは異なっている以外は繭子しか知らないような花の秘密も知ってるし、月ちゃんと母親らしく仲睦まじくしていたり、昔から得意だったピアノ演奏もめちゃくちゃ上手かったりと本物のお母さんにしか見えないんだけど…。

やはりその過程で1番衝撃的だったのは予告でもあったあのシーン。良いお天気の日に花の側でお昼寝をしていた繭子(無防備でエロい!)のチャームポイントである目元のほくろをふと花が触るとなんとそのほくろはペンかなんかで書いたようなものでピッと触った瞬間伸びてしまうところもちょっとびっくりしちゃうんだけど、その次の瞬間、目を覚ました繭子の眼球がぐるぐるぐるぐるっと物凄い速度で回り始める!!いや!こえーよ!!個人的トラウマ映画「うずまき」の名ぐるぐるシーンを彷彿とさせる不気味さと異物感でめちゃくちゃ怖かった。

あと、その後の月のシーンも仮面越しに繭子と同じくグルグルグルッと目が回ってるのがわかるんだけど、真っ暗な部屋で仮面つけた少女がトランス状態になってるってそれだけで上記のシーンに拍車をかけて怖かった。

そんな感じで結局のところ、花以外みんなヤバいことがわかってきて、その真相が段々と明らかになってくるんだけど、キモとなってくるのが父司郎が「催眠」による心理療法の専門家という点。その点からなるほど、繭子も月も別人物に催眠をかけて「家族」という役割を演じさせてたのかな?と思っていると…。

予想より遥かに人怖〜!!そこの「世にも奇妙な物語」的な司郎の所業の酷さもさる事ながら、そこに冒頭のおかしな人々がなぜ近辺で続出するのか?そしてなぜその人々の目が「真っ赤」なのかがわかってくるとさらに恐ろしいーー!!

そうか、だから目が赤かったのか。

ただ、そうなってくるといくらなんでも催眠万能説というか、一種魔法の領域にまでいっちゃってる感が出ちゃってちょっといくらなんでもやりすぎな感じはあるかなぁ…。

あと、「シネマンション」のvlogでジャガ斎さんが言ってたけど、終盤のある展開での玉木宏の暴力描写はレートを下げるためかなんなのか知らんけどあんまり殴ってる感がなくて終盤の迫力が弱まっちゃったかなぁ。殴られる人物があそこまで行き着く理由もあんまりないように感じたし。

ただ、その上で残ったタイトル「この子は邪悪」の回収の仕方よ!!当初は花が実は…と思ったら全然そんなことなかったし、純はあんな状態になっちゃったし、じゃあ誰が1番邪悪なのか。ラストでこちら側に向かってあの8の字に「ぐーるぐーる」と回してあたかも催眠をかけてくるような仕草をするある人物のラストショットで、「あぁ、これは邪悪だわ…」と一瞬でその事実を理解し、ちょっと鳥肌が立った。

そんな感じで思うことがないわけじゃないけど、流石TSUTAYAの企画コンテストの受賞作品。一筋縄ではいかないエキセントリックな内容な作品でこれは見る価値ありです。
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