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デイブレイカーのRのネタバレレビュー・内容・結末

デイブレイカー(2009年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2010年のオーストラリア/アメリカの作品。

監督は「プリディスティネーション」のマイケル・スピエリッグとピーター・スピエリッグ。

あらすじ

人口の9割がヴァンパイアとなった近未来の地球。人間の数は年々減少し、食糧となる血液は枯渇、代替血液の生成もうまくゆかず、ヴァンパイアは血に飢えた生活を送っていた。大手血液製造会社に勤めるヴァンパイアのエドワード(イーサン・ホーク「ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ」)は車の衝突事故がきっかけで人間の女性オードリー(クローディア・カーヴァン「トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ ・ケリー・ギャング」)と知り合い、その出会いの中でヴァンパイアを救う驚くべき行動を聞かされる。

それなりに気になって、何回か観るのにチャレンジするものの配信が終わってしまっていたりとなかなか観終わることができなかったんだけど、今回ようやくU-NEXTで鑑賞しました。

お話はあらすじの通り、「ヴァンパイアもの」なんだけど、流石「プリディスティネーション」のスピエリッグ兄弟、SFと絡めた世界観の構築がいい感じ。例えば、冒頭、ものの見事にヴァンパイアばっかの世界なので、みんな青っちろい顔をして、見るからにヴァンパイアです!って感じの人々が行き交う中、過去一ビジュが冴え渡る美青年っぷりを発揮するイーサン・ホーク演じる主人公エドワードが駅のホームで待っていると電車が通過する瞬間、画面がブラックアウトするとヴァンパイア独自の光る目が暗闇の中、爛々と光ってるルック一発で持っていく感じで、あぁこの世界は本当にヴァンパイアだけの世界なんだとすぐさまわからせる作りとか、後はこの世界は人間が絶滅寸前のため、血液が枯渇している状態なんだけど、極度に血液不足となったヴァンパイアは段々と姿形が醜悪化していって「サブサイダー」と呼ばれる怪物に変化してしまうという設定があったりと序盤から引き込まれる。

で、主人公のエドワード、そんな現状にうんざりしていて、ヴァンパイアという存在にも嫌気がさしているようで全然血液を摂らない生活(代替血液で代用している)んだけど、ある日起こした事故で偶然人間の女性オードリーと知り合う。

で、オードリーと知り合う中である人物と引き合わせられることになるんだけど、その人物ライオネルを演じるのが出ました!ウィレム・デフォー(「哀れなる者たち」)!!いや、その顔でヴァンパイアじゃないかい!って感じの人間役なんだけど、実は元々はヴァンパイアで、その時は期待通りのヴァンパイアデフォーのルックを楽しめるんだけど、太陽光に短時間当てられたことでヴァンパイアから人間の姿に戻っていたという、元ヴァンパイア!

ということで、元々が人間寄りだったエドワードもオードリーやライオネルと共に人間側につき、なんとかヴァンパイアたちを元の人間の姿に戻そうと奮闘していくって感じの展開になっていく。

もちろん「アンダーワールド」みたいなアクションを全面に押し出したヴァンパイアものじゃないので、そこまでド派手なアクションはないんだけど、例えば追ってくるヴァンパイアたちを倒すのに当たると爆散するボーガンやバットで戦うシーンがあったりとそれなりの描写はある。

ただ、キモはそこじゃなくて、今作の面白いポイントは描写としての「エグさ」にある。例えば、サブサイダー関連のシーン。中盤「ある人物」がサブサイダーになって囚われちゃうんだけど、凶暴化の一途を辿るサブサイダーを一斉処分するために鎖で繋いだサブサイダーたちをトラックで引っ張って太陽の元に晒すシーンがあるんだけど、次々と晒されて骨まで燃えて死んでいくサブサイダーの中で恨みがましそうしこちらの方を見ながら死んでいくそのキャラクターのシーンがまず酷い。

その上での終盤のシーン。血液の供給も儘ならぬことで駅の血液販売店でリーマンヴァンパイアが暴動を引き起こして血液を貪り吸うシーン(販売店のスタッフまでもその混乱に乗じて血液吸っちゃうカオスっぷり)があったりといよいよ混乱も極まってくるんだけど、その中でどうやら元ヴァンパイアの血をそれ以外のヴァンパイアが吸うと血液感染じゃないけど、太陽光に当てなくてもその時点で人間に戻れることが発覚し、エドワードが務める職場の大元の社長で、あのサム・ニール(「アサシン・クラブ」)演じるチャールズがエドワードの罠にハマって人間に戻っちゃうだけど、そいつの末路の酷さよ。

括り付けられた状態でエレベーターに乗せられて、開いた場所は大勢の兵士が集う地下駐車場。そりゃ血に飢えたヴァンパイアなもんだから理性も吹っ飛んじゃって「人間だぁーー!!」と社長であることも忘れて目の前の「餌」に向かって一目散。臓物が飛び散り、首も引き抜かれて生首状態となったサム・ニールも拝めていやぁ、なかなかのグロさだった。

その後も地獄絵図に次ぐ地獄絵図状態なんだけど、終わり方は陽光が静かに降り注ぐ中、エドワードたちが車に乗ってナレーションバックで「俺たちの戦いはこれからだ!」的に地平線の彼方に消えていくエンドでなんか爽快感に溢れてた。

そこまで派手さはないけど、なかなか趣向も凝らされてるし、普通のヴァンパイアものに飽きた人なら観る価値はあると思います。
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