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デューン 砂の惑星PART2のRのネタバレレビュー・内容・結末

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

映画館で友人2人と。

2024年のアメリカ/カナダの作品。

監督は「灼熱の魂」のドゥニ・ヴィルヌーブ。

あらすじ

ハルコンネン家の策略により、アトレイデス家は全滅、しかし、後継者であるポール・アトレイデス(ティモシー・シャラメ「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」)は生き残り、砂漠の民チャニ(ゼンデイヤ「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」)と心を通わせ、その絆は彼を救世主としての運命に導いていく。一方、ハルコンネン家は宇宙を統べる皇帝シャッダム4世(クリストファー・ウォーケン「グランパ・ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告」)と連携し、力を増していた。

前作「PART 1」は今作と同じく3時間という長丁場に加え、内容の複雑さもあって、なかなか苦痛を伴う映画体験となったんだけど、PART2となる今作は前作で難しくてよくわかんねぇ!って人もかなり評判も高くて、予告でもいい感じ…つかPART1観て2観ないとかないし!というわけでかなりタイミングが遅れて公開終了ギリギリで鑑賞してきました!

結論から言うと…前作よりかは全然お話もわかるし、視覚的には大満足…だけど「ゴーストバスターズ」に続き、やっぱもったいねぇなと思う部分もあって…という感じ。

お話もはあらすじの通り、始まった瞬間はわからなかったけど、前作「PART1」のほぼほぼ直後から始まる。

で、そんな冒頭から速攻で引き込まれる。どうやら敵のハルコンネン家の兵士に仲間入りしたフレメンの民と共に追われているシーンから始まるんだけど、そのハルコンネン家の兵士の宇宙服が全身ブラックでめっちゃかっこいいなぁとか崖上までの登り方がふわぁーと空中浮遊して見たことない感じの宇宙服ギミックだったりだとか、崖上で逆にハルコンネンたちを奇襲するシーンではどうやら遠くからスナイプしているらしいんだけど、弾道が線上に見えるスナイパーショットがめっちゃカッケー!!となったし、そこからドサッ!ドサッと次々にポールたちがいる崖下に死体が落っこちる感じとかも良かった!という感じで前作は割と重々しい感じで始まるのに比べてのっけから戦闘シーン、それも見たことないSF描写の連続で普通に引き込まれる。

あと、地味に興味深かったのがフレメンの民がハルコンネンの死体をちゃんと有効活用しているところ。要は死体から独自の装置で死体内の水分を吸い取るわけなんだけど、ハルコンネン=敵の死体ということで「汚い水」と宣いつつ、冷却に使えるとちゃんと砂漠で水が枯渇している世界観というのを活かしてこういうところで体内の水であっても有効活用している点は新鮮味もありつつ、なるほど確かにこういう水の使い方も考えればあるよなぁと感心してしまった。

で、その後も割とイベント目白押し、なおかつスローリーな前作に比べて割とテンポも早くて面白い。その中でもやっぱSFギミックには注目せざるを得なくて、中でも序盤のヒロイン、チャニとポールがチームとなって仕掛ける奇襲シーン。何やら黒い骸骨みたいな香料(スパイス)を収穫する戦車みたいなどでかい乗り物の真下で砂中に隠れて奇襲を仕掛けるんだけど、ガバッと次々とフレメンが砂中から飛び出したと思ったら素早い動きで地上部隊をナイフで殲滅した後、その乗り物の影に隠れながら、羽ばたき機(オーニソプター)と呼ばれる未来ヘリみたいな乗り物からバーストで「ダダダッ!」とガトリングみたいのを撃ってくる敵に対してポールとチャニが連携プレイでキャノンを撃って迎撃するくだりは普通に面白かった。描写としての演出は流石、もはや現代映画のSF映画監督でも一歩抜きん出ていると言っていいドゥニ・ヴィルヌーブという感じなんだけど、1人がキャノンの持ち手、もう1人が装填する係と惹かれ合うポールとチャニの初めての共同作業という点でも印象的。

で、イベントシーンで言うと前半最も印象的だったのはやはり前作でもインパクト大だった砂虫(サンドワーム)ライドシーン。上述の活躍もあり、アトレイデス家という元々は部外者ながらメキメキと頭角を現し、フレメンにも認められたポールの最終試験となるこのシーンでは砂虫を呼び寄せる装置「サンパー」を使って砂に振動を送って呼び寄せるんだけど、現れた砂虫でかぁっ!で、こんなん乗りこなせるんかよ!と思ったら、ポールも両手にワイヤーみたいな鉤爪持って「やれる!」とか言っちゃって砂虫が凸ってくることで舞う盛大な砂埃で砂だらけになりながら無我夢中で飛び乗って、その勢いに吹っ飛ばされそうになりながら必死にしがみついて、遂に乗りこなす!!という爽快感!!そこにまるでサーフィンしてるみたいに砂上を砂虫に跨って威勢よく操縦する様はマジで見たことない絵面でこれだけでも劇場で観た甲斐があったというもの!!

あとキャラクターもそりゃ有名俳優陣が今作でも演じているので絵面だけでも超豪華なんだけど、中でも今作でも出てくる新キャラ、ハルコンネン男爵(ステラン・スカルスガルド「異端の鳥」)の甥である、「エルヴィス」での記憶も新しいオースティン・バトラー(「デッド・ドント・ダイ」)演じるフェイド・ラウザ !!こいつがまた男爵と同じくらい強烈なキャラクターでハルコンネン側の人間である証明のような綺麗に剃り上げたスキンヘッドと眉なし姿で、そこにサイコパスでサディストでなおかつ戦闘狂という個性マシマシ、攻撃特化のキャラクター!!特に初登場時のナイフをベロォと「ザ ・マジックアワー」の佐藤浩市ばりに舐め回しでお付きの女性たちをばっさばっさと切り伏せる暴君っぷりでめっちゃイイ…。後は男爵の前でアトレイデス家の生き残り3名との決闘をするシーンがあるんだけど、ここでは戦闘狂っぷりを発揮して、屈強な男3名にナイフ一本でほとんど苦戦することなく、なんと最後のアジア系のアトレイデスとはシールドなしで戦うという武人っぷりも出してきて、いやキャラとしておいしすぎだろ!スキンヘッド眉なしでもわかる爬虫類顔だけど、甘いマスクっぷりもあって、これはそれ系が好きな女子にも刺さるキャラとなっていたんじゃないだろうか。

そんな感じで前半はポール編、中盤はラウザ編という感じで上述のテンポの良さもあって、なるほど前評判通りかなり楽しめる作りにはなっていたんだけど、後半からは一気にスローダウン…。というのも今回ポールの母であるジェシカ(レベッカ・ファーガソン「ミッション:インポッシブル/デッド・レコニングPART1」)が序盤から「命の水」という砂虫の幼虫から抽出した見るからに体に悪そうな液体を飲んで教母という教母(女性指導者)になるんだけど、それによって北に行く、南に行くみたいな話が始まって停滞していく。一応その中で、どうやらまだ産まれてもいないのに命の水によって意志を持ったポールの妹の成長した姿でみんな大好きあの女優が出てきたり、ジェシカ、そしてポールの実は…でした!な出自も明らかになったりとそれなりに驚くべき展開もあったりするんだけど、結局前作の予知夢描写同様、どうやら正式に製作のレジェンダリーからGoサインが出た第3作にて!といった感じでお預けになっちゃうからそれまでのイケイケな感じが一気にショボーンとなってしまう。

で、その弊害で約3時間というあれだけ超大作で前作であれだけ期待させておいたアトレイデス&フレメン軍vsハルコンネン軍の戦争描写もポールの拳を掲げてフレメンを鼓舞する威勢のいい助走から始まるのに「え?もう終わり?」ってくらい呆気なく終わっちゃう。あと、せっかく良いキャラ揃いの男爵やデイヴ・バウディスタ(「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME3」)演じるラッバーンも呆気なくやられちゃうし、何より1番良いキャラのラウザとポールの最終決戦も民衆の前で決闘で戦うんじゃなくて、もっとスターウォーズみたいな盛大な正義vs悪の構図で戦って欲しかったなぁ。

まぁ、求めるものが違ったというか、ポールの辿る道筋を観ていると、結局今作描きたいのはスターウォーズみたいなスペースオペラじゃなく「星をかけた政略図」なんだよな。だから、それを汲み取らなかった俺が悪いってのもあるんだけど、まぁそりゃ前半みたいな感じは期待するわけで…。つーかせめて砂虫だけはもっと活躍させたげてよ!あれだけ予告で煽ったんだから!!

あと、結局ポールはどっち側として生きていくって決めたわけ?なんつーか、南に行く!ってなってからあれだけ行けって勧めてたチャニがずっと不服そうにポールにガンつけるから、なんか観てるこっちもせっかく戦いに勝って次は大領連合だ!と勇んでいるのにずっと後ろ髪引かれる想いというか「え?これは喜んでいいの?どうなの?」って感じでスッキリしねぇ笑。

まぁ、これだけお金がかかってる力作であり、超大作。ギミックや描写だけで観て良かったーとなるし、前作よりも話筋はわかりやすいので面白かったのでまたいつになるかわからないけど続編も観に行くんだろうなぁーという感じで程々に期待して待ちます。
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